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妊娠中絶で懲役7年、弱い立場の女性が置かれる現実 ザンビア

ザンビアでは憲法でキリスト教的価値が強調されており、宗教的・文化的背景から中絶への社会的支持が低いとの分析もある。
2026年1月21日/ザンビア、ルサカ在住の女性(AP通信)

アフリカ南部・ザンビアの26歳の女性が法律で認められた中絶を受けられなかった末に自ら中絶を行い、違法中絶の罪で長期禁錮刑を受けていたことが明らかになった。国際人権団体の支援で控訴が認められ、約2年の収監を経て先月釈放されたこの女性は、自らの経験を語り、同国やアフリカ全般における中絶アクセスの現実を浮き彫りにした。

女性はルサカの清掃員として月収約40ドルで暮らすシングルマザー。パートナーに見捨てられ、経済的に困窮していた。彼女は公的クリニックで合法的な中絶手続きを求めたが断られ、民間薬局では中絶薬の購入に必要な約43ドルを支払えなかったという。生活の苦しさから自家製のハーブを用いた中絶を決断し、胎児を自宅のトイレで出産後、袋に入れて近くの小川に捨てたと証言している。

彼女は中絶後、友人に打ち明け、情報が広まり、隣人が警察に通報した。中等教育を途中で終えていた彼女は裁判で公選弁護人の助けを受けられず、自ら弁護を行い、違法中絶の罪を認めた。法の理解が浅かった彼女は、警告程度で済むと考えていたと述べている。裁判は2024年に行われ、懲役7年の実刑判決を受けた。家族や子どもとほとんど会えないまま約2年を過ごした後、国際的な権利団体が介入し控訴が認められ、釈放された。

人権団体や女性の権利擁護者はこのケースを「ザンビアの制度が女性を救えなかった象徴」として批判している。アフリカ地域での安全な中絶へのアクセスが極めて限定的な現状について指摘し、合法的な中絶を求める女性が経済的・社会的障壁に阻まれる場合、危険な方法に追い込まれる実態を浮き彫りにした。ザンビアの法律では一定の条件を満たせば無料の中絶手術を受けられる規定があるが、女性はその権利を知らなかった。医療制度内で中絶に関する情報が公に提供されていないことや、宗教的・保守的価値観が障壁となっているとの指摘もある。

ザンビアでは憲法でキリスト教的価値が強調されており、宗教的・文化的背景から中絶への社会的支持が低いとの分析もある。人権団体は今回の判決とその後の支援を契機に、中絶の合法的権利について全国的な教育や議論を深める必要性を訴えている。

世界保健機関(WHO)や関連研究機関のデータでは、中絶が合法であっても実際に安全なサービスが提供されない場合、女性が危険な方法に頼らざるを得ない状況が依然として多いとしている。アフリカと中南米では安全でない中絶の割合が高く、健康被害や死に至るケースも多いという。ザンビアの今回のケースは法制度と現実のギャップ、中絶にまつわる社会的タブー、そして弱い立場に置かれた女性が直面する困難を象徴している。

釈放後の彼女は依然として生活の立て直しに苦闘しているが、「自分と同じような困難に直面する女性たちが救われる社会であってほしい」と語っている。

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