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スーダン内戦、女性や少女に対する性的暴力が横行=MSF


スーダンでは2023年4月、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の権力闘争が激化し、首都ハルツームや西部ダルフール地方などで全面的な戦闘に発展した。
スーダン、紅海沿岸の都市ポートスーダンの避難所(Getty Images)

スーダン内戦において、女性や少女に対する性的暴力が戦争の手段として組織的に用いられている実態が明らかになった。。国際医療支援団体「国境なき医師団(MSF)」が3月31日に公表した報告書は、紛争の残虐性と深刻な人道危機を改めて浮き彫りにしている。

スーダンでは2023年4月、国軍と準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」の権力闘争が激化し、首都ハルツームや西部ダルフール地方などで全面的な戦闘に発展した。この衝突では民間人への攻撃が相次ぎ、国際刑事裁判所(ICC)も大量虐殺や集団強姦などを戦争犯罪や人道に対する罪として調査している。

MSFの報告によると、2024年1月から2025年11月までの間に、少なくとも3396人の性的暴力被害者が医療施設で治療を受けた。被害者の大半は女性や少女で、加害者は武装した男たちであるケースが多い。特に南ダルフールでは約6割が複数の加害者による集団暴行で、極めて組織的かつ残虐な実態が確認されている。

被害の実態はさらに深刻である。報告には、女性が複数の男に繰り返し暴行されるなどの証言が含まれ、こうした行為が偶発的ではなく、住民を恐怖で支配するための「戦争の武器」として用いられていると指摘されている。 また、家族の目の前で暴行が行われるケースもあり、地域社会全体に深い心理的傷を残している。

性的暴力は個人の被害にとどまらず、生活基盤そのものを破壊する。住民は襲撃への恐怖から農作業や水汲みなど日常的な活動すら困難となり、地域経済や食料供給にも深刻な影響が及んでいる。さらに、医療施設へのアクセスが限られているため、多くの被害者が適切な治療を受けられない状況に置かれている。

また、報告された数値は氷山の一角に過ぎないとみられる。紛争地域では社会的偏見や報復への恐れから被害申告が控えられる傾向が強く、実際の被害規模ははるかに大きい可能性が高い。

スーダン内戦はすでに数万人の命を奪い、1000万人規模の避難民を生み出すなど、世界最悪の人道危機とされる。 性的暴力の横行はこの危機をさらに深刻化させ、社会の分断と復興の困難さを増幅させている。

MSFは国連など国際社会に対し、被害者の保護と医療支援の強化、そして加害者の責任追及を強く求めている。紛争が長期化する中で、性的暴力が戦略的に利用され続ければ、被害は拡大し続ける恐れがある。今回の報告は戦争の陰で見過ごされがちな深刻な人権侵害に対し、早急な対応の必要性を突きつけている。

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