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米国から赤道ギニアに送還された移民「保護も希望もない」


西アフリカの赤道ギニアに送られた移民らが、保護も将来の見通しもない状態に置かれている実態が明らかになった。
赤道ギニアの住宅地(AP通信)

米国からの移民送還を巡り、第三国への移送を可能にする秘密裏の合意が新たな人道問題を引き起こしている。西アフリカの赤道ギニアに送られた移民らが、保護も将来の見通しもない状態に置かれている実態が明らかになった。

問題の背景には、米国が自国への送還が認められない移民を、別の第三国へ移送する政策がある。AP通信によると、少なくとも29人が赤道ギニアに送られ、その多くはエチオピアやエリトリア、モーリタニアなど複数の国の出身者である。彼らの中には、出身国に戻れば迫害や暴力の危険があるとして、米国の裁判所から保護措置を受けていた者も含まれていた。

しかし、こうした判断にもかかわらず、移民たちは拘束後、手錠をかけられた状態で赤道ギニアへ移送された。同国には正式な難民認定制度が存在せず、到着後も拘束状態が続いている。移送された男性の1人はAPの取材に対し「ここには保護も希望もない」と語り、極めて不安定な状況に置かれていることを訴えた。

現地の収容環境も深刻である。移民たちはホテルを転用した施設に収容され、食事や衛生状態の悪さから体調を崩すケースも報告されている。マラリアなどの感染症にかかる者もおり、医療体制も十分ではない。また、弁護士や外部との連絡手段が限られ、法的支援を受けることも困難な状況にある。

さらに問題視されているのは、赤道ギニア側が移民に対し、自国での庇護申請を事実上認めず、出身国への帰還を促している点である。すでに一部は帰国を余儀なくされ、再び危険にさらされているという。

このような第三国送還は、米国が国際法上禁じられている「迫害の恐れがある国への送還」を回避するための手段だと専門家は指摘する。人権団体は、こうした手法が法の抜け穴を利用したものであり、国際的な保護義務に反する可能性があると強く批判している。

また、この政策の背後には資金提供も存在する。米政府は赤道ギニアに約750万ドルを支払い、移民の受け入れを求めたとされる。こうした資金の使途や合意内容は不透明で、「極めて異例」との批判も上がっている。

現在も多くの移民が帰国か長期拘束かという厳しい選択を迫られ、状況は膠着している。トランプ政権の移民政策と国際人権のあり方を巡る議論は今後さらに高まりそうだ。

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