◎スナク前政権はドーバー海峡を渡ってイギリスへの入国を試みる移民の数を減らすため、2年前にルワンダと協定を結んだ。
アフリカ中央部・ルワンダ政府は8日、イギリスの新政権が不法移民をルワンダに強制送還する政策を終了すると発表したこと認識していると明らかにした。
先週の総選挙を制した労働党のスターマー(Keir Starmer)首相は2日前、この政策を打ち切ると明らかにしていた。
ルワンダ大統領府の報道官は8日遅くの声明で、「英政府の発表を認識している。この計画はイギリスが始めたものである」と述べたが、それ以上の詳細には言及しなかった。
スナク前政権はドーバー海峡を渡ってイギリスへの入国を試みる移民の数を減らすため、2年前にルワンダと協定を結んだ。
ルワンダ政府はこの協定により、移民を保護する代わりにイギリス政府から最大1億4000万ポンドの融資を受ける。ルワンダで亡命を認められた者はそこで生活し、認められなかった者は専用施設に送られる。
イギリス政府がルワンダに計画中止を伝えたかどうかは不明だ。
人権団体はこの協定を「非人道的」「残酷」と評している。スターマー氏は6日の記者会見で、「この計画は始まる前に死んでいた」と述べ、協定とスナク前政権の決定を批判した。
またスターマー氏は協定を「とんでもない人権侵害」と呼んだが、ルワンダ当局と協議しているかどうかは明らかにしなかった。
イギリス内務省の統計によると、今年ドーバー海峡を横断した移民は先月初めの時点で約1万800人。昨年同期比で42%増となっている。
昨年ドーバー海峡を横断した移民は約3万人。22年の4万5000人超から大幅減となった。21年は約2万8000人、20年は約8500人である。
ルワンダへの強制送還には何億ポンドものコストがかかる。専門家によると、ドーバー海峡のパトロール費用、移民収容施設の運営費、生活支援などにも年間数億ポンドがかかっているという。
ルワンダ大統領府は声明の中で、「我々は金銭面を含むイギリスとの協定を完全に履行しており、今後も履行する用意がある」と表明した。