ルワンダ大統領、コンゴとの和平合意に疑問呈す
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動。そのほとんどが土地や貴重な鉱物などを守るために戦っている。
とルワンダのカガメ大統領(Getty-Images)-6.jpg)
ルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領は4日、米国が仲介したコンゴ民主共和国との和平合意を維持できるかどうか確信を持てないと述べ、コンゴの「策略」には厳しく対応すると警告した。
両国は先週、トランプ米政権の仲介で和平協定に調印した。
ルワンダ軍はこの協定に基づき、90日以内にコンゴ東部から撤退する必要がある。
国連はルワンダ軍が今年初めに同地域の2大都市を制圧したコンゴ最大の反政府勢力M23(3月23日運動)を支援していると指摘している。
ルワンダはこれを否定し、ルワンダ軍はコンゴ軍と1994年のルワンダ大虐殺に関与したフツ族武装勢力「ルワンダ解放民主軍(FDLR)に対して自衛措置を取っていると主張している。
カガメ氏は首都キガリの記者団に対し、「ルワンダは協定にコミットしている」とする一方、コンゴがFDLRを無力化するという約束を果たさなければ、協定が破綻する可能性があると指摘した。
またカガメ氏は「コンゴが問題が引き起こした場合、これまでと同じやり方で対処する」と警告した。
コンゴ東部で続く紛争が終結するかはM23次第である。
トランプ政権はコンゴ東部の紛争を終わらせ、この地域の希少な鉱物資源(タンタル、金、コバルト、銅、リチウムなど)に関する協定を結び、欧米諸国の投資を呼び込みたいと考えている。
コンゴ政府は東部紛争への対応に苦慮しており、鉱物資源と引き換えに、米国に安全保障を提供するよう求めてきた。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に東部の最大都市である北キブ州ゴマを占領。その後、東部第2の都市・南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
それ以来、アフリカ諸国に加え、カタールと米国が和平に向けた協議を仲介してきた。
カタールが仲介した交渉は既に決裂している。
コンゴはルワンダ政府がM23を支援していると非難している。国連によると、ルワンダ軍の兵士約4000人がコンゴ東部に駐留し、M23を支援しているという。
一方、コンゴ川同盟の指導者であるコルネイユ・ナンガア(Corneille Nangaa)氏は4月、AP通信のインタビューで、「米国が求めている鉱物協定は何の役にも立たず、政府が米国とどのような協定を結ぼうと、戦いを止めない」と語った。
コンゴ川同盟は3月、支配下に置いた北キブ州の要衝ワリカレから部隊を撤退させると表明。国連はこの決定を歓迎し、撤退を機に停戦交渉を加速させるよう促した。
しかし、M23はその後、国軍とその支援民兵がワリカレに攻撃ドローンを送り込んできたと主張。撤退を取り消した。
ワリカレの人口約1万5000人。ゴマの北西約125キロに位置し、第4の都市キサンガニの400キロ圏内にある。
東部4州の主要道路がワリカレを通過する。国軍はこの町を失ったことで、東部4州の主要都市にアクセスしづらくなった。
双方は紆余曲折の末、互いに歩み寄る姿勢を見せ、M23はワリカレから部隊を撤退させたとみられる。
アフリカ諸国の調停努力が頓挫する中、カタールは3月、コンゴのチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領とルワンダのカガメ氏を招き、その後、仲介国のアンゴラと共に「即時かつ無条件の停戦」を求める共同声明を出した。
政府とM23は4月、和平に向けて協議を継続することで合意したが、それ以降も東部の広い範囲で戦闘が続いている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。
米国はルワンダに対し、コンゴから部隊を完全撤退させることを求めている。