▽ルワンダによるM23への軍事支援は国際的な非難を巻き起こしている。
アフリカ中央部・ルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領は30日、コンゴ民主共和国で猛威を振るう反政府勢力M23(3月23日運動)への支援を擁護し、「対決」の用意ができていると表明した。
M23は30日、コンゴ東部・北キブ州の州都ゴマを支配下に置き、南キブ州の州都ブカブに向けて南下を開始した。
ルワンダによるM23への軍事支援は国際的な非難を巻き起こしている。
多くの欧州諸国がルワンダへの援助を停止。イギリスは4000万ドルの援助を差し止めると警告している。
このような反発にもかかわらず、ルワンダ軍はM23を支援し、ゴマで堂々と活動。SNSでもその活動を擁護する意見が相次いでいる。
ルワンダ大統領府は声明で、「コンゴと戦う準備ができている」と述べ、欧州諸国の非難を退けた。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダはこの主張を否定している。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
M23はこの数週間で支配地域を拡大し、ゴマを包囲していた。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは少なくとも200万人がテント生活を送っている。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
コンゴ東部では国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)とつながりのある過激派など、120以上の武装勢力が活動している。
政府はISIS系組織「民主同盟軍(ADF)」の攻撃にも対処する必要があり、厳しい戦いを強いられている。
ADFはウガンダで発足した反政府勢力。1990年代半ばから北キブ州などに拠点を置き、民間人数千人を虐殺したと告発されている。