◎軍政の支配下に置かれるマリ、ブルキナファソ、ニジェールは10年以上にわたってサヘル地域に拠点を置く国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦ってきた。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は12日、アフリカ西部・マリでロシアの民間軍事会社ワグネルとその支援を受ける武装勢力が一般市民を虐殺していると非難した。
HRWは12日に公表したレポートで、「昨年末に国連平和維持活動(PKO)が撤退して以来、ワグネルとその支援を受ける武装勢力が非人道的な行為を繰り返している」と述べた。
それによると、ワグネルと武装勢力は今年5月、中部と北部の町や村でドローンなどを使って少なくとも32人の一般市民を故意に殺害し、4人を誘拐、少なくとも100軒の家屋を焼き払ったという。
さらに両勢力は6月以来、少なくとも47人の一般市民を処刑したとされる。
HRWは「両勢力の攻撃により数千人が避難を余儀なくされ、数千の家屋が焼失し、遊牧民に欠かせない家畜が多数略奪された」と非難した。
またHRWは「マリ軍もワグネルおよび武装勢力とともに、国際法を無視して一般市民を標的にしている」と述べた。
軍政の支配下に置かれるマリ、ブルキナファソ、ニジェールは10年以上にわたってサヘル地域に拠点を置く国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織と戦ってきた。
この3カ国はクーデター後、旧宗主国フランスや米国との関係を断ち、サヘル諸国連合(AES)を形成してロシアに接近。マリ軍政はワグネルと契約を結び、一般市民を巻き込みながら過激派を掃討している。
専門家によると、ワグネルはこの地域の天然資源を略奪して利益を上げているという。