ロシア情報機関、アフリカ大陸におけるワグネルの作戦を継承
ワグネルは長年にわたりロシアで最も著名な傭兵組織としてアフリカ各地で活動してきた。
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新たな調査でロシアの情報機関がアフリカ大陸における民間軍事会社ワグネルの影響力活動を事実上引き継いでいることが明らかになった。調査は国際的なメディアコンソーシアムが実施し、内部資料を基に分析したもので、ロシアの対外情報機関であるSVR(対外情報局)がワグネルの政治・情報部門を掌握していることが分かった。
ワグネルは長年にわたりロシアで最も著名な傭兵組織としてアフリカ各地で活動してきた。人権団体からはその残虐性が批判され、リビアやマリなどに戦闘員を派遣しつつ、政治的影響力や情報操作を通じた勢力拡大を進めてきた。だが、創設者であるプリゴジン(Yevgeny Prigozhin)氏の死後、ロシア政府内部での再編が進んだ。プリゴジン氏は2023年にロシアで反乱を起こした後、飛行機事故で死亡した。
調査によると、ロシア国防省はワグネルの軍事的機能を国家主導の新組織「アフリカ軍団(Africa Corps)」に統合しようとしている一方で、SVRがワグネルの「影響力作戦」を引き継ぎ、ロシアの政治的・経済的利益のための活動を展開しているという。これらの活動には情報戦、政治的介入、競争排除といった工作が含まれる。
ワグネルの影響力部門は内部で「アフリカ・ポリトロジー(Africa Politology)」または「ザ・カンパニー(The Company)」と呼ばれ、約100人のコンサルタントが関与しているとされる。2024〜25年の間にアンゴラ、ブルキナファソ、チャド、ガーナ、リビア、マリ、ニジェール、スーダンなど多数の国で活動が確認されている。調査はこれらの作戦が政治的影響、偽情報の拡散、外部勢力の排除を狙ったものであると指摘する。
調査開始のきっかけは、ワグネルの内部文書1400ページ超が匿名でパナフリカメディア「The Continent」の編集長に送付されたことだ。これらの文書には戦略計画、スタッフ履歴、活動報告、会計情報、2024年1〜11月の偽情報キャンペーンの要約などが含まれていた。調査側はこれらの文書が真実性を持つことを確認したとしている。
調査では、SVRの介入が単なる工作活動に留まらず、ロシア政府の外交政策全般と密接に結び付いていることが明示された。SVRは特定の情報を収集し、情報源を獲得、戦略的に影響力を持つ人物を重要な役職に配置するなど、アフリカ各地での政治的影響力強化に努めているという。
一部の専門家はこうした動きがロシアにとって長期的な地政学的戦略の一環だと分析している。特にマリ、ブルキナファソ、ニジェールなどのサヘル地域ではフランスや米国の影響力低下を受けてロシアへの接近が進み、SVRの活動がこれを後押ししているとみられている。
今回の調査はロシアが民間組織に頼る従来型の影響力戦略から、国家情報機関による直接的な介入へと転換していることを浮き彫りにした。ワグネルの軍事的役割は国防省系組織に移行したが、政治的・情報戦の最前線ではSVRが主導権を握り、ロシアのアフリカ戦略を推進している実態が明らかになった。
