ナイジェリア誘拐事件、生徒130人救出=大統領府
この事件は11月21日未明に発生。武装集団が同校を襲撃し、生徒303人と教職員12人を拉致した。
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ナイジェリア中部ナイジャ州で11月に発生した武装集団に学生誘拐事件について、大統領府は21日、残りの約130人が解放されたと明らかにした。
これにより、同州のカトリック系寄宿学校における誘拐事件で捕らわれていた全ての生徒・職員は自由の身となった。
この事件は11月21日未明に発生。武装集団が同校を襲撃し、生徒303人と教職員12人を拉致した。襲撃後まもなく約50人の児童が自力で逃走したが、残りは誘拐されたままになっていた。政府は以降、軍や情報機関を含む治安部隊による救出作戦を展開していた。
ティヌブ(Bola Tinubu)大統領の報道官はX(旧ツイッター)への投稿で、「誘拐されていた残りの約130人の生徒が解放された」と明らかにした。
生徒たちは州内の施設に移送され、健康チェックを受けた後、クリスマスを家族と過ごす予定だという。解放は軍と情報機関による共同作戦によって実現したとしている。
一連の救出作戦で解放された総数は260人に上る。最初の逃走分約50人に加え、12月8日までに政府が100~130人の救出を確認しており、今回の発表で残り全員の自由が確定した形だ。
この誘拐事件はナイジェリアで続く治安悪化を改めて国内外に印象づけた。北部および中部地域では武装した犯罪集団が学校を標的に児童・生徒を誘拐し、身代金目的で拉致する事案が頻発している。2014年には北東部チボクでイスラム過激派組織ボコ・ハラムが女子生徒276人を拉致した事件もあり、これ以来学校誘拐は国際的な批判を浴びてきた。
ティヌブ政権は誘拐事件発生後、安全保障強化を掲げ、治安部隊の増強や対応策の強化を進めると表明していた。今回の解放はその一環として実施された救出作戦の成果と見られているが、誘拐の根本的な抑止にはさらなる取り組みが必要との指摘もある。
学校関係者や家族は解放された子どもたちの帰還を歓迎する一方、同国の治安状況に対する不安は依然として根強い。誘拐事件の詳細な背景や犯行グループの特定、誘拐動機について政府は明らかにしていないが、治安専門家は武装集団による身代金目的の誘拐が続いていると指摘している。
中央政府は今回の事件を教訓に学校や地域社会の安全保障体制を強化し、今後の類似事件発生を防ぐための包括的な戦略を策定する方針だ。教育機関の安全確保は保護者や地域住民の最重要課題となっている。
