赤十字がニジェール事務所閉鎖、軍事政権の命令受け

軍事政権は2月、ISRCに対し、事務所を閉鎖し国外に退去するよう命じた。
アフリカ西部・ニジェール、赤十字国際委員会(ICRC)の職員ら(AP通信)

赤十字国際委員会(ICRC)は5日、アフリカ西部・ニジェールの事務所を閉鎖したと明らかにした。

ICRCアフリカ地域ディレクターは声明で、「私たちはニジェール当局との建設的な対話を継続し、人道的な保護と支援活動を再開する意向を改めて表明する」と強調した。

軍事政権は2月、ISRCに対し、事務所を閉鎖し国外に退去するよう命じた。

軍政は当時、この理由について明らかにしていなかった。

ICRCは2月からニジェール当局との対話を続け、その理由を確認し、説明を続けてきた。

軍政の最高指導者であるチアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍は先月末、国営テレビでICRCの追放を正当化。ICRCが「テロリストの指導者」と会合を持ち、武装グループに資金を提供したと主張した。

ICRCは5日の声明でこの主張を改めて否定。「人道任務を遂行するためには紛争の全当事者との対話が必要である一方、武装集団に資金を提供したという政府の主張は誤りであり、ICRCはいかなる組織にも資金を提供していない」と述べた。

ニジェールは23年7月のクーデターでバズム(Mohamed Bazoum)大統領を追放して以来、西側諸国と距離を置いている。

軍政は旧宗主国フランスに部隊撤退を命じ、24年5月には米国との軍事協定を打ち切ると一方的に発表。米軍は24年9月に撤退を終えた。

それ以来、軍政は国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織への対応に苦慮してきた。

ニジェール、マリ、ブルキナファソの軍事政権はサヘル諸国連合(AES)を形成してロシアに接近。マリ軍政はロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、一般市民を巻き込みながら過激派を掃討している。

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