▽M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に北キブ州の最大都市ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
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アフリカ中央部・コンゴ民主共和国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)が東部・北キブ州の要衝ワリカレを制圧した。地元当局が20日、明らかにした。
ワリカレの人口約1万5000人。ゴマの北西約125キロに位置し、第4の都市キサンガニの400キロ圏内にある。
AP通信によると、東部4州の主要道路がワリカレを通過し、国軍はこの町を失ったことで、東部4州の主要都市にアクセスしづらくなったという。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に北キブ州の最大都市ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
M23は2月初めに一方的に停戦を宣言したが、北キブ州と南キブ州ではそれ以降も激しい戦闘が続いている。
コンゴのトゥルカ(Judith Suminwa Tuluka)首相は先月末、東部紛争における今年の死者数が7000人を超えたと明らかにした。
欧米諸国は隣国ルワンダによるM23への軍事支援を非難。一部の国は援助を停止した。
ルワンダ軍はM23を積極的に支援し、ゴマ市内で堂々と活動中。ゴマ郊外でコンゴ軍と交戦中という情報もある。
ルワンダ大統領府は1月末、「コンゴとの全面戦争に応じる用意がある」と表明した。
現地メディアによると、M23は19日深夜にワリカレに入り、ほぼ抵抗を受けることなく中心部に到達したという。国軍は撤退したとみられる。
ワリカレの元副市長はAPの取材に対し、「M23は市庁舎を含む中心部を簡単に制圧し、町全体を支配下に置いた」と語った。
それによると、多くの住民がM23の到着を歓迎したという。
ゴマに拠点を置く人権団体はSNSに声明を投稿。「コンゴ軍はほとんど戦っておらず、防戦一方のように見える」と述べた。
地域の緊張が高まる中、コンゴのチセケディ(Félix Tshisekedi)大統領は18日に隣国アンゴラでルワンダのカガメ(Paul Kagame)大統領と会談した。
両首脳は仲介国のカタールおよびアンゴラと共に「即時かつ無条件の停戦」を求める共同声明を出した。
しかし、M23はこれを一蹴し、国軍に武器を置き、チセケディ氏を逮捕するよう求めている。
M23は西に向かって進軍中とみられる。
コンゴ川同盟は20日の声明で、「停戦にコミットしているが、国軍は武器を置けと主張しながら、居住区を無差別に砲撃している」と主張。「市民を守るためにワリカレに入った」と述べた。
また同盟は国軍が市民を「人間の盾」にして戦闘を続けていると主張した。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
ゴマには国連コンゴ民主共和国安定化ミッション(MONUSCO)の本部と南部アフリカ地域圏の基地があり、郊外の避難民キャンプでは数百万人がテント生活を送っている。
M23はブカブから30キロほど離れた地点にある空港も占拠した。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。