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ギニアビサウ首都で軍事クーデターに抗議するデモ、混乱続く

現地メディアによると、デモには数百人規模の市民が参加し、 クーデターで拘束された野党指導者らの釈放と民主主義の回復を求めて市内を行進した。
2025年11月21日/ギニアビサウ、首都ビサウ、治安部隊(ロイター通信)

ギニアビサウの首都ビサウで12日、 先月発生した軍事クーデターに抗議するデモが行われた。

現地メディアによると、デモには数百人規模の市民が参加し、 クーデターで拘束された野党指導者らの釈放と民主主義の回復を求めて市内を行進した。

デモはビサウ中心部で展開され、一部の参加者と治安部隊が衝突する場面も見られた。

参加者たちは野党PAIGCの党員とみられ、クーデター直後に拘束された党首や関係者らの釈放を強く求めた。

また参加者たちは暫定大統領に就任したホルタ・ウンタ・ナマン(Horta Inta-A Na Man)将軍を非難し、国際社会に対応を呼びかけた。

軍は11月26日、エンバロ(Umaro Sissoco Embalo)大統領を電撃的に解任・排除したと発表した。クーデターは議会選挙と大統領選挙の結果発表を前日に控えたタイミングで発生、軍幹部は翌27日にナマン氏を暫定大統領に据え、12カ月の移行憲章を発表した。この憲章では暫定大統領と首相が今後の選挙に立候補できないとする条項が含まれている。

抗議活動の最中、 治安部隊が一部のデモ参加者に催涙ガスや警棒で対応し、小規模な衝突が起きたと報じられている。デモ隊はビサウ市内を行進しながら、 民主的秩序の回復と政治犯の釈放を訴え、ストライキや市民的不服従を呼びかける声を上げた。

主催者側は抗議活動が平和的に行われたことを強調。軍政との対話に応じる姿勢を示している。

このクーデターは西・中央アフリカ地域でここ数年続く軍事介入の波の一部であり、 過去5年間で9回目のクーデターとなった。ギニアビサウは独立以来政治的な不安定さが常態化しており、民主主義と軍事の関係が揺れ動いてきた歴史がある。麻薬密輸などを背景とした治安問題も国の脆弱性を助長しているとの指摘もある。

地域機構であるECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)はギニアビサウ情勢を協議するため首脳会議をナイジェリア・アブジャで開催する予定であり、制裁措置も示唆している。これに対し、軍政と抗議派双方の見解は分かれており、国際的な圧力と国内の政治抗争は今後さらに激しくなる可能性がある。

ビサウでのデモは国民の政治参加意識の高さと、軍事支配に対する根強い反発を改めて浮き彫りにした。ギニアビサウの将来を巡る政治的混迷は続いており、国内外の関係者による調整と対話が求められている。

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