◎死因は心不全。61歳だった。
◎マグリフ大統領はコロナウイルスに感染したと噂されていたが、真偽は不明。
3月17日、タンザニア政府はジョン・マグフリ大統領が心不全で亡くなったと発表した。61歳だった。
ポピュリストのマグフリ大統領はアフリカで最も著名なコロナウイルス懐疑論者であり、2月27日以来公の場に姿を現していなかったため、国際的な注目を集めていた。
サミア・スルフ副大統領は全国テレビ放送の中で次のように述べた。
「私たちの最愛の大統領は今夜午後6時に亡くなりました。本日から14日間を追悼期間に設定します。国内の全ての旗を半旗にしてください。私たちは打ちひしがれています。大統領は過去10年間この病気と闘っていました」
スルフ副大統領によると、マグフリ大統領は国内愛大の都市、ダルエスサラームの病院で亡くなったという。
スルフ副大統領は死因を心不全と発表したが、野党関係者は以前、「マグフリ大統領はコロナウイルスに感染し入院している」と主張していた。ただし、感染したかどうかは明らかにされていない。
カシム・マジャリワ首相は先週、「マグフリ大統領は健康で一生懸命働いている」と述べ、コロナウイルスに感染したという噂は海外に移住した裏切者のタンザニア人(元野党党首)が流したと主張していた。
昨年10月の大統領選挙でマグフリ大統領に敗れた元野党党首のトゥンドゥ・リス氏は、選挙の大規模な不正を指摘し、平和的に抗議していたが、警察の厳しい取り締まりに直面し、ベルギーに亡命した。
リス氏は英BBCニュースのインタビューの中で、「マグフリ大統領は隣国ケニアに搬送され、その後、危機的な状態でインドに再搬送されました」と述べていた。
昨年6月、マグフリ大統領はコロナウイルス終息宣言を発表したうえでマスクの有効性を嘲り、コロナ検査を疑い、ワクチンを却下し、近隣諸国の感染予防対策をからかった。
タンザニアは昨年5月以来コロナの症例数を公表しておらず、世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム事務局長は懸念を表明していた。また、ワクチンの購入も拒否し、「ハーブと運動でコロナを防ぐ」と述べていた。
警察は先日、ソーシャルメディアに「マグフリ大統領はコロナウイルスに感染した」という誤った噂を流した罪で4人を逮捕している。
化学と数学の教師を務めていたマグフリ大統領は、2015年にタンザニアの初代大統領に就任した。
マグフリ大統領の「腐敗を防止する」という政権公約は広く歓迎されたが、反対意見を厳しく取り締まり、一定の自由を制限したとして一部の政治家から非難されていた。
2015年、マグフリ大統領は就任初日に財務省の事務所を訪ね、職員の勤務状況をチェックし、腐敗と汚職を防止する緊縮政策のひとつとして、政府当局者の不必要な旅行を禁止した。また、独立記念日のイベントを全て中止し、「無駄な予算はダルエルサラームのインフラを改修するために使う」と述べ、腐敗しきった一部の政府高官を解雇した。
マグフリ大統領はタンザニアが必要としていた指導者と見なされていた。また、腐敗に対する厳しい姿勢はタンザニア人だけでなく東アフリカの他国の市民からも称賛された。しかし、政策に異議を唱える政治家や批判的な関係者を打ち負かすやり方は多くの反発も招いた。
マグフリ大統領の厳しい政策は国内のLGBTコミュニティに適用され、HIV/AIDSの蔓延を防ぐ法案を却下し、その後、「あらゆる形態の異議申し立てを抑制し、表現の自由と平和的集会の権利を効果的に制限する」法案を可決した。
昨年3月、敬虔なカトリック教徒であるマグフリ大統領は教会やモスクで祈りを捧げるよう市民に促し、「コロナウイルスは悪魔です。しかし、敬虔な信者は決して感染しません」と述べた。
タンザニアの市民はマグフリ大統領の突然の訃報に困惑している。
ある市民は地元メディアの取材に対し、「大統領は思いやりのあるリーダーでした。彼は市民の味方でした」と述べた。
別の市民は、「彼は汚職と腐敗を嫌悪し、公務員のあるべき姿を私たちに示しました」と死を悼んだ。
「厳しい取り締まりに反対する人もいましたが、マグフリ大統領は汚職まみれの高官を打ち負かし、予算をインフラの整備に充てました。彼は地に足の着いた指導者でした」