◎フランシスコ教皇はカトリック教徒を前に演説し、アフリカ大陸における外国勢力の略奪を厳しく非難した。
バチカンのフランシスコ教皇(Pope Francis)は31日、コンゴ民主共和国を訪問し、チセケディ(Felix Tshisekedi)大統領と会談した。
ローマ教皇のコンゴ訪問は1985年のヨハネ・パウロ2世(John Paul II)以来38年ぶり。
フランシスコ教皇はカトリック教徒を前に演説し、アフリカ大陸における外国勢力の略奪を厳しく非難した。
教皇は演説の冒頭、「コンゴから手を引け!アフリカから手を引け!」と述べ、コンゴの天然資源が略奪されていると指摘。教徒から喝采を浴びた。
教皇はコンゴの膨大な鉱物資源を「創造のダイヤモンド」と呼び、「外国の利害関係者が利益を上げるためにコンゴを切り刻み、市民を奴隷のように扱っている」と非難した。
また教皇はベルギーによる旧ザイールの植民地支配を糾弾した。コンゴは1960年にベルギーから独立した。
さらに、コンゴを含むアフリカ諸国で「忘れられた大虐殺が進行中である」と述べ、国際社会に「世界の全ての紛争地や貧しい国に平等に支援を提供する必要がある」と訴えた。
教皇はアフリカで開発に関与している国や企業を「毒」と呼び、国際社会に何世紀にもわたって現地の人々に不利益となる破滅的なことが行われてきたことを認め、忘れないよう促した。
カトリック教会はコンゴの医療および教育に多額の寄付をしている。
政府の統計によると、コンゴの人口約9000万人のほぼ半数がローマカトリック教徒だという。
教皇のコンゴと南スーダン訪問は昨年7月に予定されていたが、教皇の膝の問題で延期されていた。報道によると、教皇はキンサシャに向かう専用機に乗る際も立ちあがることができず、車イスを使ったという。
教皇はコンゴ東部の北キブ州ゴマにも立ち寄る予定だったが、政府軍と反政府勢力「3月23日運動(M23)」の戦闘が激化したことなどを受け、訪問を取りやめた。
世界食糧計画(WFP)によると、M23やイスラム国(ISIS)系組織のひとつである「民主同盟軍(ADF)」の暴力を受け避難した市民は570万人に達し、避難者の数は昨年だけで20%ほど増加したという。
チセケディ大統領は教皇に謝意を示したうえで、「武装民兵だけでなく、我々の国土の鉱物に飢えた外国勢力は隣国ルワンダの卑怯な支援を受け、残虐行為を働いている」と主張した。
コンゴ政府、米国、国連の専門家はルワンダ政府がM23を支援していると指摘しているが、ルワンダはこの主張を否定している。
教皇はコンゴ東部の紛争について、「市民は領土を保全するために戦っている」と述べたが、ルワンダには言及しなかった。
バチカン政府によると、教皇は1日に在コンゴ・バチカン大使館で東部地域の代表団と会談する予定。