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スーダン準軍事組織RSF、避難民キャンプで民間人1000人超殺害=国連

報告は避難民や目撃者155人への聞き取りに基づくもので、意図的な民間人殺害は「戦争犯罪の可能性がある」と指摘された。
2022年6月13日/スーダン、ダルフールの集落(Ashraf shazly/AFP通信/Getty Images)

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は18日、スーダン西部ダルフール地方にある避難民キャンプで、2025年4月に準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」がその支配を奪った際に1000人以上の民間人が殺害されたとする報告書を公表した。うち約3分の1に当たる319人がその場で処刑されたとみられている。

報告は避難民や目撃者155人への聞き取りに基づくもので、意図的な民間人殺害は「戦争犯罪の可能性がある」と指摘された。

このキャンプは内戦で避難を余儀なくされた50万人余りが暮らす大規模な居住地で、RSFが4月11~13日に制圧した。報告書によると、それ以前からRSFは食品や支援物資の搬入を阻止し、飢餓状態の住民をさらに追い込んでいたという。

制圧後は市場や学校、医療施設など各所で殺害や性的暴行、拷問、誘拐が広範囲に及んだとされる。多くの住民が再び避難を余儀なくされ、約40万人がキャンプを離れたと伝えられている。

OHCHRのターク(Volker Turk)高等弁務官は「非戦闘員の意図的な殺害は国際人道法違反、戦争犯罪に該当する可能性がある」と非難した。

OHCHRは今週、コルドファン地域でもドローン攻撃により100人超の民間人が死亡したと発表していた。

この報告は2023年4月に始まった軍政とRSFの内戦が依然として深刻な人道危機を引き起こしている現状を浮き彫りにするものとなった。この紛争ではこれまでに数万人が死亡し、1400万人以上が避難を余儀なくされている。武力衝突は都市部や避難民キャンプにも拡大し、医療・教育・食料支援の提供は困難を極めている。

国際社会からも懸念が強まっている。米国、イギリス、ノルウェーなどは18日、軍政とRSFに対し「即時の攻撃停止と停戦」を強く求める共同声明を発表した。声明では戦闘の激化が地域の不安定化をさらに深刻化させる恐れがあるとして、全ての当事者に対し即時停戦の実現と政治対話への復帰を促した。

RSFはコメントを出していないが、これまでにも民間人への暴力を否定し、違反行為があれば自らの部隊を処罰するとの立場を示している。国連や人権団体はダルフールおよび周辺地域での残虐行為に関し独立した国際的調査を求める声を強めている。

多くの避難民や人道支援団体は安全な援助アクセスと紛争停止を訴え続けており、スーダン国内の人道危機は今後も国際社会の主要な課題となる見通しだ。

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