◎ティヌブ氏は昨年5月の就任初日にガソリン補助金を廃止。複数の為替レートを統一するなど、財政健全化を進めている。
ナイジェリアのティヌブ(Bola Tinubu)大統領は4日、全国で政府与党と貧困に抗議するデモが激化し、暴動に発展していることを受け、「政治的意図を持ったごく一部の少数派が暴力を煽っている」と非難した。
このデモは1日から始まり、多くの地域で暴動に発展。最大都市ラゴスを含む都市部で略奪や放火が多発している。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチは2日、機動隊がデモ参加者少なくとも9人を殺害したと報告した。
それによると、9人のうち4人は爆発に巻き込まれて死亡したという。国家警察は死傷者の数を公表していない。
ティヌブ氏は声明で、「平和的に抗議デモを行う人々の声を聞いた。私はあなたの苦しみや痛みを理解しており、皆さんの懸念払しょくに対処すると約束する」と述べた。
またティヌブ氏は一部の少数派が政治的な意図を持って暴力を煽っている非難。「商店を略奪したり、民家や公共施設に放火するような者はひとり残らず逮捕されるだろう」と強調した。
デモ隊はティヌヌ氏に辞任を求め、公務員の給与引き上げや食料不足などに抗議している。
公務員などで構成されるナイジェリア労働会議(NLC)と労働組合会議(TUC)は先月、政府との労使交渉で合意。これにより、公務員の月給は7万ナイラ(約6300円)に引き上げられることが決まった。
デモ隊は過去数十年で最悪の生活危機、貧困、汚職、失政に抗議している。
地元メディアによると、デモに参加する一部の若者は先月ケニアで行われた増税反対デモに刺激を受けているようだ。ケニア政府は増税を見送っている。
ティヌブ氏は暴力を非難し、「平和的なデモの権利を保障するが、破壊行為は絶対に容認しない」と述べた。
ティヌブ氏は昨年5月の就任初日にガソリン補助金を廃止。複数の為替レートを統一するなど、財政健全化を進めている。
その後も電気料金の補助金を廃止するなどした結果、ガソリン価格は2倍以上に、公共交通機関の運賃や日用品の価格も急騰した。