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ナイジェリア警察が教会襲撃事件を否定、地元住民は170人が拉致されたと主張

地元住民や議員らは18日、同州郊外の農村部にある3つの教会が同時多発的に武装グループに襲われ、信者らが拉致されたと報告した。
ナイジェリア北部、イスラム過激派組織ボコ・ハラムの戦闘員(Getty Images)

ナイジェリア北西部カドゥナ州の3つのカトリック教会に身元不明の武装集団が押し入ったとされる事件について、地元住民は多数の信者が連れ去られたと主張する一方、警察は事件自体を否定する異例の事態となっている。地元住民や議員らは18日、同州郊外の農村部にある3つの教会が同時多発的に武装グループに襲われ、信者らが拉致されたと報告した。しかし、警察は証拠がないとして攻撃の事実を否定している。

地元の州議会議員は20日、AP通信の取材に対し、「武装集団は177人を拉致し、その後複数人が自力で逃げ出したものの、168人が今も行方不明である」と語った。拉致されたとされる信者には高齢者や子供も含まれているとみられる。住民の証言では、武装勢力が数十人単位でバイクに乗って教会に押し入り、信者を無差別に連れ去ったという。

これに対してカドゥナ州警察は襲撃報道を「デマ」と断定し、捜査官が報告された3つの教会のうち少なくとも1つを確認したが、攻撃の痕跡や被害の証拠は見つからなかったと述べた。また、「このようなデマは当地で平穏が保たれていることを好まない者たちによって煽られている」と主張した。さらに地元政府関係者も声明で「攻撃や拉致の証拠は一切ない」と述べ、偽情報が拡散したことに困惑していると述べた。

しかし、住民側の話はこれと大きく食い違っている。AP通信は襲撃を目撃した村長の話しとして、「私自身も武装集団から逃げ延びた一人だ。誰もが事件を目撃しており、起きていないなどと言う者は嘘をついている」と伝えている。また、キリスト教系の支援団体も現地調査に入ることを治安部隊に阻まれたと述べ、襲撃と拉致の事実を裏付けるための現場検証が妨げられているとの見解を示した。

さらに地域の住民グループは拉致されたとみられる人々のリストを公開、独立した第三者による確認は行われていない。キリスト教協会もリストを保有しているとする一方、安全上の理由から匿名を条件に当局に対し被害の実態を訴える関係者もいる。

ナイジェリア北中部では武装グループによる教会や学校への襲撃、住民の拉致が頻発しており、イスラム過激派組織ボコ・ハラムやイスラム国(ISIS)係属派閥、いわゆる「バンディット」と呼ばれる犯罪集団など複数の勢力が関与しているとの指摘がある。このため警察と住民の間で事件の認識が食い違うことは珍しくないが、攻撃そのものを当局が公式に否定するのは異例である。

今回の出来事は治安の不安定さと情報の混乱が深刻な状況であることを浮き彫りにしており、国際社会からの懸念も強まっている。ナイジェリア政府には治安維持と住民保護の強化が改めて求められている。

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