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ナイジェリア空軍機がブルキナファソ西部の空港に緊急着陸、緊張高まる

ナイジェリア空軍のC-130輸送機は8日、ポルトガルへ向かう空輸ミッション中、離陸後まもなく機体の「技術的問題」が生じたため、安全確保を優先し、ブルキナファソ西部の空港に緊急着陸した。
2015年6月3日/ブルキナファソ東部(Getty Images/AFP通信)

ナイジェリア空軍の軍用機が飛行中の緊急事態によりブルキナファソ西部に緊急着陸し、サヘル諸国連合(AES)が防空態勢を最高レベルに引き上げたことで、地域の軍事緊張が高まっている。

ナイジェリア空軍のC-130輸送機は8日、ポルトガルへ向かう空輸ミッション中、離陸後まもなく機体の「技術的問題」が生じたため、安全確保を優先し、ブルキナファソ西部の空港に緊急着陸した。機体には乗組員2人と乗客9人の計11人が搭乗していた。

AESによると、着陸したこの軍用機には事前の飛行許可(オーバーフライトクリアランス)がなかったとされ、「同盟領空の主権侵害」を意味する行為として強く非難された。

AESは声明で、「同様の無許可の航空機については、無力化を含む対応を取る権限を有する」と警告。これを受け、ブルキナ、マリ、ニジェールの防空および対空防御システムが「最大警戒態勢」に移行した。

一方ナイジェリア側は、あくまで「安全を最優先した予防的措置による着陸」であり、領空侵犯や政治的な意図はないと釈明。乗員乗客は無事であり、ブルキナ当局からも「丁重な扱い」を受けたと述べている。また、任務再開に向けた準備も進めているとのこと。

ただし、この着陸は最近の地域情勢の緊張と密接に結びついており、外交・軍事的に重大な意味を持つ。背景には、AESとナイジェリアが加盟するECOWAS(西アフリカ諸国経済共同体)との対立がある。3カ国はECOWASを離脱済み、3カ国の軍事クーデターや介入をめぐって鋭く対立してきた。今回の着陸はこうした構図の中で起きたため、一触即発の可能性を伴う事件と捉えられている。

今回の事態を受け、AESは「同様の事案が再発した場合は即座に軍事的対応を取る」と警告しており、地域の緊張が一段と高まった。今後、ナイジェリアとAESの間で外交や安全保障を巡る駆け引きが激化する可能性がある。地域の不安定化やさらなる対立の火種ともなりかねず、西アフリカ全体の安全保障に波及する懸念が高まっている。

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