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ナイジェリア政府、トランプ氏の主張に反発、キリスト教徒迫害?

ナイジェリア北中部では西アフリカ最大のイスラム過激派「ボコ・ハラム」やその関連組織「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」など、数十の過激派や武装勢力が活動している。
ナイジェリア、イスラム過激派組織ボコ・ハラムの戦闘員(Getty Images)

ナイジェリア政府は2日、同国でキリスト教徒が迫害されているというトランプ(Donald Trump)大統領の主張に反発し、米国がナイジェリア国内で一方的に軍事作戦を行うことはできないと強調した。

トランプ氏は1日、ナイジェリア政府がキリスト教徒殺害取り締まりに失敗した場合の軍事行動の可能性に備えるよう国防総省に指示したとSNSに投稿した。

トランプ氏は声明の中で、ナイジェリアに対する全ての援助と支援を直ちに停止すると述べ、「米国が軍隊を派遣した場合、このような恐ろしい残虐行為を犯しているイスラム・テロリストを完全に一掃するために行動する」と警告した。

ナイジェリア北中部では西アフリカ最大のイスラム過激派「ボコ・ハラム」やその関連組織「イスラム国西アフリカ州(ISWAP)」など、数十の過激派や武装勢力が活動している。

中央政府とボコ・ハラムは戦争状態にあり、10数年にわたる戦いで3万5000人以上が死亡、260万人以上が住居を失ったと推定されている。

ボコ・ハラムは2009年に西欧の教育に反対し、過激なイスラム法を導入するための武装闘争を開始した。

一部の専門家はボコ・ハラムのような過激派がキリスト教徒を積極的に殺害していると指摘する一方、数えきれないほどのイスラム教徒も犠牲になっている。

ナイジェリアにおけるキリスト教徒の割合は45~50%、イスラム教徒も同程度と推定されている。

トランプ氏はナイジェリアを「信用できない国」と呼び、「迅速に行動しなければならない」と警告した。

ナイジェリア大統領府の報道官は2日、AP通信の取材に対し、「米国がナイジェリアで一方的に軍事作戦を行うことはできない」と語った。

また報道官は、「トランプ大統領によるこのような威嚇は誤解を招く報道に基づいており、対話による平和的な紛争解決を望むトランプ氏の手法の一部であると思われる」と述べた。

米共和党のクルーズ(Ted Cruz)上院議員は1日、証拠を提示することなく「ナイジェリアでキリスト教徒が迫害されている」と主張。一部の共和党員もこれに追随し、「イスラム教徒がキリスト教徒を絶滅させようとしている」と主張する人も現れた。

ナイジェリア軍は数年前からボコ・ハラム掃討作戦を継続中。先月末にはその戦闘員50人以上を殺害したと明らかにしていた。

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