ナイジェリア、現金引き出し限度額を強化、マネロンリスク抑制
個人については、週あたりの出金上限を50万ナイラ(約5万3500円)に設定。企業に関しては週あたり500万ナイラを上限とする。
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ナイジェリア中央銀行は3日、2026年1月1日から個人および企業による現金の引き出し(出金)に関する制限を強化する新方針を発表した。
これは同国に根強く残る現金経済を縮小し、不正資金流用やマネーロンダリングのリスクを抑えることを目的としている。
まず個人については、週あたりの出金上限を50万ナイラ(約5万3500円)に設定。企業に関しては週あたり500万ナイラを上限とする。これを超えて現金を引き出す場合、個人には超過分の3%、企業には5%の手数料が課される。
これに併せて、これまで特別な許可を得た上で可能だった大口の月次引き出し制度(個人で月500万ナイラ、企業で月1000万ナイラなど)は廃止される。また、これまで現金の預入(デポジット)に対して設定されていた上限は撤廃され、過剰預入に対する手数料もなくなる。
ATMによる引き出しについても、1日あたりの上限は10万ナイラと定められており、週間限度額である50万ナイラの枠に含まれる。加えて、第三者名義の小切手の窓口換金における上限(10万ナイラ)も維持され、これも週次の現金引き出し限度に含まれる。
中銀は今回の改正について、「現金管理のコスト増加の抑制」「セキュリティ強化」「重厚な現金依存経済に伴うマネーロンダリングの可能性の軽減」を目的と説明している。
この措置はナイジェリアにおけるキャッシュレス化の取り組みの一環とみられる。実際、同国は長年、現金流通を抑え、電子決済や銀行取引への移行を進めてきた。
加えて、こうした取り組みは国際的な金融監視体制の強化にも関連している。2025年10月、ナイジェリアは国際マネーロンダリング対策を監視するFATF(金融活動作業部会)のグレーリストから正式に除外されており、金融制度や資金取引の透明性に対する国際的評価も改善されている。
今回の新方針は、例えば多額の現金を容易に動かせる現状を改め、資金の流れに対する追跡性を高める効果が期待される。一方で、現金を主に利用してきた国民や小規模事業者にとっては、利便性の低下やキャッシュ不足の懸念もある。特に銀行口座を持たない層や、電子決済のインフラが整わない地域での影響が注目される。
