ナイジェリア軍が新たな対テロ作戦を展開、過激派の大量虐殺受け
武装勢力は3日夜、クワラ州郊外の集落を急襲し、少なくとも162人を殺害した。
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ナイジェリア中部クワラ州でイスラム過激派によるとみられる襲撃事件が発生したことを受け、中央政府は5日、新たな軍事作戦の実施を決定した。一方で、先月北部で教会襲撃により拉致されていたキリスト教徒約180人が解放された。地元当局が5日、明らかにした。
武装勢力は3日夜、クワラ州郊外の集落を急襲し、少なくとも162人を殺害した。この襲撃では家屋や商店が放火・略奪され、住民たちは過激派の思想を拒んだことで処刑されたとみられている。犯行声明を出した組織は確認されていないものの、地元議員や関係者はイスラム過激派の犯行と指摘している。
この虐殺事件はナイジェリア国内でも過去最悪クラスの攻撃の一つであり、現地の治安体制の脆弱さが改めて浮き彫りとなった。国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのナイジェリア支部は、この事件を「驚くべき治安の失敗」と批判した。
これを受け、中央政府は新たな軍事対応として「サバンナシールド作戦(Operation Savannah Shield)」を開始すると発表した。ティヌブ(Bola Tinubu)大統領は声明で、被害を受けたクワラ州の集落を含む地区に軍の大隊を配備し、指揮官を任命して治安強化を図ると述べた。この地域はこれまで十分な軍の駐留がなく、過激派が勢力を伸ばしやすい状況にあったとしている。
クワラ州知事はこの事件について、最近の対テロ作戦への反発として行われた可能性があると指摘。地域住民が提供する情報に基づいた反テロ活動が一部行われていると述べた。だが、襲撃により他の住民が過激派の要求に屈する恐れも生じているという。
ナイジェリアは長年にわたり複数の過激派との戦いを強いられてきた。特に北東部では西アフリカ最大の過激派ボコ・ハラムや関連組織による反乱が続いており、多数の誘拐や暴力事件が報告されている。こうした中、軍は対テロ戦略の強化を進めているものの、各地での治安維持は依然として難航している。
一方、ナイジェリア北部カドゥナ州では、先月教会で発生した同時多発的な拉致事件で拘束されていた183人のキリスト教徒が全員解放されたと州知事が発表した。現時点で解放の詳細な経緯については公表されていないが、一部の専門家は政府が身代金を支払った可能性を指摘している。拉致当時の報道では168人が連れ去られたとされていたが、実際の人数はこれより多かったことが明らかになった。
解放された人々は5日、州政府庁舎に到着し、関係者らと再会した。カドゥナ州知事は演説で、大統領や国家安全保障担当顧問と連携し、危険地域周辺に軍事基地を設置する必要性を訴えたと語った。
ナイジェリア政府は昨年11月にも治安非常事態を宣言し、大規模な誘拐事件への対応として警察官の増員や森林警備隊の配備を含む治安対策を打ち出していた。しかし治安改善には至っておらず、地方自治体や住民との連携による地域防衛協定が結ばれるケースもあるが、その効果は限定的との指摘もある。
治安状況を巡っては、米国をはじめとする国際社会が支援を行い、米軍による空爆や現地軍との協力が進められている。ただし、宗教的な背景やターゲットについて議論が続いており、一部の米国高官はキリスト教徒が主な標的であるとの主張を展開しているが、専門家は反論している。
