SHARE:

ナイジェリアが国内ガソリン供給優先、輸入許可を一時停止

ダンゴテ精油所は2月にガソリン約3650万リットル、ディーゼル約800万リットルを国内市場に供給し、国内需要をかなりの程度カバーした。
2026年3月2日/ナイジェリア、最大都市ラゴス郊外の製油所(ロイター通信)

ナイジェリア政府は10日、ガソリンの輸入ライセンスの発給を2カ月連続で停止し、国内向け燃料供給を優先する方針を強化した。これは同国の石油産業を規定する石油産業法(PIA)の規定に基づき、国内生産が十分でない場合に限り輸入を認めるという原則を実効化したものだ。国内の精製能力を高め、輸入依存から脱却する狙いがある。

石油規制機関NMDPRAのデータによると、26年2月に新たなガソリン輸入ライセンスは1件も発行されず、3月も同様に発給が行われていない。レギュレーターは国内供給が需要を満たしていると判断したためとしている。この動きは国内で精製能力を急速に拡大しているダンゴテ精油所(Dangote Refinery)の存在を背景としている。

ダンゴテ精油所は2月にガソリン約3650万リットル、ディーゼル約800万リットルを国内市場に供給し、国内需要をかなりの程度カバーした。規制当局はこの供給量を十分と判断し、輸入ライセンス停止の判断を下した。これにより、国内精製事業の競争力を保護し、国外依存の低減を図る狙いだ。

ナイジェリアはかつて精油能力が低く、長年にわたり燃料輸入に大きく依存してきた。だが、ダンゴテ精油所の稼働により状況は一変しつつある。国内の精製業者団体CORANは長年、政府に対して輸入ライセンス発給の停止を求めてきたが、これが実現した形だ。CORANの報道官は10日、「国内生産を守ることが重要だ」と歓迎の意を表した。

ナイジェリアではガソリンの平均消費量が1月の約6020万リットルから2月は5690万リットルに減少した。この背景には国内向け供給の増加と消費の伸び悩みがあるとみられる。輸入依存を下げる取り組みは燃料価格の安定化と国際市場の価格変動の影響軽減につながる可能性がある。

世界的な情勢もこうした政策決定に影響を与えている。中東での軍事衝突や供給不安を背景に世界の原油・ガソリン価格が高騰し、ナイジェリア国内でも燃料価格は上昇傾向にある。原油価格上昇は輸入コストの増加につながるため、国内生産の活用は外部ショックに対するバッファーとして期待されている。

だが、国内精製依存への転換には課題もある。ダンゴテ精油所の供給能力は大幅に増加したものの、原料であるナイジェリア産原油の安定供給確保や輸送・流通インフラの整備は引き続き重要だ。また、燃料価格自体の高騰を抑える政策対応も政府にとって喫緊の課題となっている。

一方、かつて輸入ライセンス発給を支持していた前レギュレーターは、競争維持や市場支配回避の観点から発給の継続を主張していた。今回の政策転換は国内精製業を中心に据えたナイジェリアのエネルギー政策の大きな転機となる。

ナイジェリア政府は今後もPIAの方針に沿って国内供給の確保を進めるとともに、輸入依存削減に向けた制度整備や市場監視を強化していく考えだ。国内精製能力の向上は中長期的に燃料価格の安定や経済全体の競争力強化にも寄与すると期待されている。

この記事が気に入ったら
フォローしよう
最新情報をお届けします