◎反乱軍はクーデターによって民主的に選出された大統領を追放した。
ニジェールのバズム(Mohamed Bazoum)大統領の主治医がメディアの取材に応じ、同氏の体調は良好であると明らかにした。
医師は12日の放送された仏国営ラジオ放送局RFIのインタビューで、「バズム大統領は軍政の管理下に置かれているものの、体調に問題はなく、元気である」と語った。
大統領警護隊らで構成される反乱軍は7月26日に首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム氏とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首に就任した。
RFIによると、バズム氏と家族は大統領府の地下室に拘束されている。
医師はインタビューの中で「一家が置かれている生活環境は厳しく、電気もつかない」と述べた。
軍政は西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)の代表とバズム氏の面会を認めていない。
RFIによると、バズム氏が外部と接触したのはクーデター以来初めてだという。
医師は「大統領は心配になるほど体重が落ち、持病を持つ20歳の息子も治療を受けれずにいる」と述べた。
また医師は「大統領夫人と息子とも直接話すことができた」とし、「軍政は彼らに食べ物と薬を持っていくことを許可した」と述べた。
チアニ氏率いる軍政はバズム氏の即時解放と憲法秩序の回復を求める西側の声が高まったことを受け、主治医の面会を許可したとみられる。
国連人権理事会のターク(Volker Turk)高等弁務官は12日、バズム氏の置かれている状況は非人道的であり、国際法に反すると断じた。
フランスでたまたま休暇を過ごしていたバズム氏の娘は今週、英紙ガーディアンの取材に対し、「父、母、弟は清潔な水も電気もない中、パスタと米を食べて飢えをしのいだ」と語った。
それによると、電気が遮断されているため、冷蔵庫の生鮮食品はすべて腐ってしまったという。
娘は携帯で家族と連絡を取ったとしている。
反乱軍はクーデターによって民主的に選出された大統領を追放した。
隣国のマリとブルキナファソでもクーデターで政権が転覆。西アフリカ地域ではイスラム過激派やロシアの民間軍事会社ワグネルが影響力を強めている。
バズム氏は拘束後、米ワシントンポスト紙に寄稿した記事の中で、「クーデターは我が国、西アフリカ、そして全世界に壊滅的な結果をもたらす」と警告した。
バイデン(Joe Biden)米大統領も先週、バズム氏の即時解放と「ニジェールが苦労して確立した民主主義の維持」を強く求めた。
ECOWASは軍政が要求に応じなければ軍事介入も辞さないと警告している。しかし、軍政は警告を無視し、ECOWASはその期限が過ぎても行動できずにいる。
ECOWASは12日、ニジェールに代表団を派遣し、チアニ氏ら軍政指導者と会談したいと表明した。
ニアメには仏軍と米軍が駐留している。米軍は北部のサヘル地域にある軍事基地にも部隊を展開し、イスラム過激派との戦いを支援している。