◎ニジェール軍政は旧宗主国であるフランスを非難することで、国民の反フランス感情を高め、支持を得ようとしている。
ニジェールの軍事政権は10日、フランスが軍事介入の可能性に備え、同国周辺に部隊を集結させていると主張した。
マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領は同日、G20サミット後の記者会見で、「ニジェールの大統領であるバズム(Mohamed Bazoum)氏から要請があった場合にのみ、行動を起こす」と表明した。
大統領警護隊らで構成される反乱軍は7月26日に首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム氏とその家族を拘束。その後、チアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍が国家元首に就任した。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はバズム氏の即時解放と憲法秩序の回復を軍政に求め、応じない場合は軍事介入も辞さないと警告している。
ニジェール軍政の報道官は9日に放送された国営テレビのインタビューで、「フランス政府はECOWASと連携して、軍事介入の準備を進めている」と語った。
また報道官は、「フランスはニジェール侵攻の準備の一環として、ECOWASのいくつかの加盟国と協調し、ニジェール国内と周辺地域に部隊を展開している」と主張した。
一方、マクロン氏は記者会見の中で「軍政の主張に関する質問に答えるつもりはない」と述べた。
またマクロン氏は「我々が部隊を再配備するとすれば、それはバズム大統領の要請によるものであり、大統領を人質に取っている連中の言うことを聞くつもりはない」と断じた。
マクロン氏は軍事介入を検討しているECOWASの立場を理解し、全面的に支持すると表明した。
ニジェール軍政は旧宗主国であるフランスを非難することで、国民の反フランス感情を高め、支持を得ようとしている。
軍政は駐仏大使や駐仏軍の国外退去を求めているが、マクロン氏はこれに応じない姿勢をみせている。
ニジェールはアフリカ西部・中部のサヘル地域で拡大するイスラム過激派との戦いにおいて、西側諸国の戦略的パートナーであった。
軍政の報道官は「フランスはコートジボワール、セネガル、ベナンといった国々に軍用機や装甲車を配備し、軍事介入の準備を進めている」と主張したが、事実か否かは不明である。