◎ニジェールはフランスの旧植民地であり、1960年の独立以来、4度軍事クーデターが発生している。
西アフリカ・ニジェールのクーデター首謀者が国軍の一部勢力の支持を得たようだ。現地メディアが27日に報じた。
大統領警備隊の反乱分子は26日、首都ニアメの大統領府を占拠し、バズム(Mohamed Bazoum)大統領とその家族を拘束した。
AP通信によると、国軍の反バズム派がクーデターを支持したものの、それ以外の派閥はバズム氏の即時解放を求めているという。
首都ニアメの通りにはクーデターを支持するデモ隊と反対派が集まり、緊張が高まっている。
クーデターを支持するデモ隊は27日、ニアメの与党本部に火を放った。報道によると、国会議事堂周辺に集まった数百人の一部が略奪と放火に関与したという。
陸軍参謀本部のものとされるツイッターアカウントは声明を投稿。「流血につながりかねない対立を避けるため、クーデターを支持する」と表明した。
これに対し、バズム氏は民主主義が勝つと表明し、国民に結束を呼びかけた。
ニジェールはフランスの旧植民地であり、1960年の独立以来、4度軍事クーデターが発生している。
バズム氏は2021年の選挙で選出され、与党以外の政党からも支持を得ているように見える。バズム氏はサヘル地域におけるイスラム過激派との戦いにおいて、西側諸国と緊密に連携している。
バズム氏は27日未明にツイッターアカウントを更新。「苦労して勝ち取った民主主義は守られる。民主主義と自由を愛するすべてのニジェール人がそれを守る」とツイートした。
外相ら政府高官もこの呼びかけを強く支持した。外務省の報道官はフランス24の取材に対し、「すべての愛国者はこの事実無根の暴挙にノーを突きつけるべく、一丸となって立ち上がる」と語った。
政府高官らによると、バズム氏の解放に向けた協議は続いているという。クーデターの首謀者は大統領警備隊と伝えられているが、詳細は明らかにされていない。
バズム氏と電話で話したという国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は27日、記者団に対し、「ニジェールの状況を憂慮している」と深刻な懸念を表明。西アフリカ諸国で軍事クーデターが相次いでいることに言及し、「その影響は市民生活に大打撃を与える可能性がある」と警告した。
西アフリカ諸国経済共同体(ECOWAS)はベナンのタロン(Patrice Talon)大統領を仲介者としてニアメに派遣した。
ロシアと西側諸国は反政府勢力との戦いを通じて、この地域で影響力を争っている。ニジェールのイスラム過激派や武装勢力は民間人や軍人を攻撃しているが、全体的な治安状況は近隣のマリやブルキナファソに比べると安定している。
バズム氏は隣国マリが旧宗主国のフランスに背を向け、ロシアの民間軍事会社ワグネルに支援を求めた後、サヘル地域における西側の最後の希望とみられてきた。
ワグネルはブルキナにも進出したとみられる。
米国務省のパテル(Vedant Patel)報道官は27日の記者会見で、「米国はニジェールの状況を注視しており、非常に懸念している」と述べた。
またパテル氏はニアメの在米大使館と緊密に連絡を取っていると強調した。
西側はニジェールに多くの支援と要員を投入している。今年3月にはブリンケン(Antony Blinken)米国務長官が訪れ、関係強化を図っていた。米国、フランス、イタリアの部隊はニジェール軍兵士を訓練し、フランスも共同作戦の拠点を置いている。