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コンゴでエボラ流行続く、35人死亡、WHOが資金不足に

エボラ出血熱はエボラウイルスによって引き起こされる重篤なウイルス性疾患である。
2025年9月7日/コンゴ民主共和国、中央カサイ州、エボラ感染者向けに開設された医療施設(AP通信)

世界保健機関(WHO)は25日、コンゴ民主共和国の南部・中央カサイ州で確認されたエボラ出血熱の死者が35人に増加したと明らかにした。

それによると、1000人以上の濃厚接触者を確認し、罹患した57人のうち35人が死亡したという。致死率は60%を超えている。

WHOは9月14日からこの地域でエボラワクチンの接種を開始。1700人以上の医療従事者と濃厚接触者が接種したと報告している。

当局は今月初め、アンゴラに近い中央カサイ州でエボラ患者を確認したと報告した。この地域でエボラが確認されたのは18年ぶりであった。

中央カサイ州は道路網がほとんど整備されておらず、首都キンシャサから1000キロ以上離れている。ワクチンの輸送はヘリで行われた。

国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)のアフリカ事務所は声明で、「コンゴへの医療支援は限定的であり、中央カサイ州の医療機関の収容能力は限界を超えている」と述べた。

またIFRCはコンゴのエボラ対策に緊急資金を割り当てているとして、国際社会に支援を呼びかけた。

WHOの報道官は25日、AP通信の取材に対し、「コンゴにおけるエボラ対応資金はわずか430万ドルしか集まっておらず、今回の感染封じ込めに必要な2000万ドルを大きく下回っている」と語った。

エボラ出血熱はエボラウイルスによって引き起こされる重篤なウイルス性疾患である。主に西アフリカや中部アフリカで発生が報告されており、ヒトからヒトへの感染は、感染者の血液や体液、分泌物との直接接触によって生じる。潜伏期間は2日から21日程度で、発症初期には高熱、頭痛、筋肉痛、倦怠感などの全身症状が現れる。

病状が進行すると、嘔吐や下痢、発疹、出血傾向などが見られ、重症例では多臓器不全やショックに至ることがある。診断には血液検査によるウイルスの検出が用いられる。治療法は主に対症療法であり、脱水補正や感染合併症への対応が中心である。ワクチンも一部で使用が認められており、特に流行地域での接種が推奨されている。感染防止には、患者との直接接触の回避、手指衛生の徹底、医療従事者による防護具の使用が重要である。エボラ出血熱は致死率が高く、早期の発見と適切な対応が流行抑制に不可欠である。

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