モロッコ全土で反政府デモ続く、若者たちが主導、逮捕者も
若者たちはティックトックやインスタグラムなどのSNSで連絡を取り合い、デモを組織した。
.jpg)
アフリカ北西部・モロッコの首都ラバトやカサブランカなどで29日、若者主導の抗議デモが行われ、一部の参加者と機動隊が衝突した。
デモは3日目を迎え、全国の少なくとも10都市で数百人の若者が汚職を糾弾。政府が医療や教育を軽視して国際スポーツイベントに資金を注ぎ込んでいると非難した。
現地メディアによると、若者たちはティックトックやインスタグラムなどのSNSで連絡を取り合い、デモを組織したという。
政府と警察は逮捕者や負傷者についてコメントを出していない。
ロイター通信によると、カサブランカのデモは機動隊によって阻止され、数十人が連行されたという。
ラバト市内では反政府スローガンを叫ぶデモ参加者と取材をしていたジャーナリストが私服警官に拘束されたと伝えられている。
モロッコは2030年にスペイン、ポルトガルとともにワールドカップを共同開催する準備を進めており、空港、高速鉄道、都市間鉄道、道路、インターネット網の拡張を計画している。
さらに、少なくとも3つの新スタジアムを建設し、6つのスタジアムを改修または拡張中だ。今年後半にはアフリカネイションズカップも開催される。
モロッコの経済は農業、鉱業、観光業、製造業に支えられている。特にリン鉱石の埋蔵量は世界有数であり、輸出の大きな柱となっている。また、欧州との地理的な近さから、繊維や自動車部品などの軽工業も発展している。一方で農業は天候に大きく左右されるため、経済の安定性に課題がある。
経済成長は一定の水準を保っているものの、失業率は依然として高い。特に都市部の若年層における失業は深刻で、教育を受けた若者の雇用機会が限られていることが社会問題となっている。農村部では雇用の選択肢が少なく、都市への人口流入も進んでいる。
政府はインフラ整備や外国直接投資の促進、雇用創出プログラムなどを通じて状況の改善を図っているが、成果は限定的である。持続可能な成長と社会的格差の是正が、今後の課題である。
国家統計局によると、全国の失業率は12.8%、若年層の失業率は35.8%。