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モロッコ、海水「淡水化」で水需要の60%確保へ

この戦略の一環として、政府は再生可能エネルギーによって稼働する淡水化施設への投資を加速する。
アフリカ北西部・モロッコ(Getty Images)

モロッコ王国は2030年までに国内の飲料水需要の約60%を海水の淡水化でまかなう計画を進めている。現在約25%にとどまっている淡水化水の割合を大幅に引き上げるもので、政府が4日、明らかにした。

この戦略の一環として、政府は再生可能エネルギーによって稼働する淡水化施設への投資を加速する。また政府は2030年までに年間17億立方メートルの淡水化水を生産することを目標とし、既存と計画中の全プロジェクトを通じて供給を拡充する予定だ。

現状、国内では17の淡水化プラントが稼働し、年間約3.45億立方メートルの淡水化水を供給している。さらに、4つのプラントが建設中で、これらが完成すれば2027年までに供給量はさらに増加する見通しである。

最大規模となる新プラントのひとつは首都ラバトの南方で計画されており、投資額は約10億ディルハム(およそ10億米ドル)、想定生産能力は年間3.5億立方メートル。都市部および農業地域への水供給を目的とする。

さらにタンタンではグリーン水素やアンモニアの輸出港と連携した水インフラ整備など、多角的な展開も進められる予定だ。

モロッコは貯水池の水分蒸発量削減にも取り組んでおり、タンジェ近郊のダムに浮体式太陽光パネルを設置する実証プロジェクトを実施。この方式により、国内表面水の約30%が蒸発で失われていたという指摘に対応する。政府は南部や山岳地域の他のダムでも同様の導入を検討中だ。

こうした大規模な脱淡水化・水管理インフラへの転換は7年にわたる干ばつと気候変動による水不足という深刻な問題を抱えるモロッコにとって、水供給の安定と農産物輸出を支える生命線となる可能性が高い。

今後は淡水化水のコストや農業・都市への公平な配分、再生エネルギーの活用状況などが注目される。

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