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モロッコ、2月から冷凍イワシの輸出禁止へ、漁獲量減少

国民の主食となっているイワシの国内供給を確保し、価格の高騰を抑えることを目的とした異例の措置で、同国が世界有数のイワシ輸出国である中での決定となった。
冷凍イワシのイメージ(Getty Images)

モロッコ政府が2月1日から冷凍イワシの輸出を禁止する方針を発表した。国民の主食となっているイワシの国内供給を確保し、価格の高騰を抑えることを目的とした異例の措置で、同国が世界有数のイワシ輸出国である中での決定となった。

この方針は首都ラバトの国会で水産担当相が明らかにしたものであり、供給の著しい減少を受けて輸出停止に踏み切るとしている。ただし、禁止の具体的な期間については明言されていない。輸出禁止は2月1日から実施されるが、状況によっては延長される可能性もあるとみられている。

イワシはモロッコの家庭にとって欠かせない動物性タンパク源であり、その消費量は国民生活に密接に結びついている。長い大西洋・地中海沿岸線を持つモロッコは世界有数のイワシ生産国・輸出国として知られ、冷凍・缶詰など多様な形で欧州やアフリカなど海外市場に大量に供給してきた。

しかし、近年はイワシ資源の減少が深刻な課題となっている。モロッコ当局のデータでは、2024年のイワシ漁獲量は2022年比で約46%減少し、52万5000トンに落ち込んだことが報告されている。こうした漁獲量の減少は、漁業資源の圧迫、気候変動の影響、漁業パターンの変化など複数要因が絡んでいるとみられている。

このため、国内市場ではイワシの供給がひっ迫し、価格が上昇する傾向が強まっていた。イワシはモロッコの食卓で日常的に消費される重要な食材であるだけに、価格高騰は低所得層を中心に消費者の負担増を招いており、政府内でも対応が急務となっていた。
水産担当相は国会で、国内供給の安定と価格抑制を図るための緊急措置として輸出禁止を位置付けると説明した。輸出停止措置は特にラマダン期の需要増加を見据えた対策としても重要視されている。

一方で、輸出禁止はモロッコの漁業加工業界や輸出業者にとって大きな打撃となる可能性がある。輸出向けの冷凍イワシは同国の主要外貨獲得品の一つであり、特に低価格大量輸出を主とする企業にとっては収益悪化や操業縮小の恐れが指摘されている。また、漁業関連の雇用や地域経済への影響も懸念されている。

輸出禁止の期間やその後の方針については今後の市場動向や漁獲状況を踏まえて政府が判断するとみられ、国内外の漁業関係者の関心が高まっている。モロッコ政府は今回の措置を通じて、国内の食料安全保障と価格安定を優先する姿勢を示した。

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