コンゴ軍監察官、カビラ前大統領に死刑求刑、人道に対する罪で指名手配
カビラ氏は2001年から2019年まで大統領を務め、自身に対する激しい抗議デモの後、退陣。同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の反乱を支援したとして、人道に対する罪で指名手配されている。
.jpg)
アフリカ中央部・コンゴ民主共和国の軍監察官は22日、戦争犯罪の容疑で欠席裁判にかけられているカビラ(Joseph Kabila)前大統領に対し、死刑を求刑した。
カビラ氏は2001年から2019年まで大統領を務め、自身に対する激しい抗議デモの後、退陣。同国最大の反政府勢力M23(3月23日運動)の反乱を支援したとして、人道に対する罪で指名手配されている。
カビラ氏は23年末から南アフリカに滞在している。
カビラ氏は今年、M23の支配下に置かれるコンゴ東部・北キブ州を訪れ、幹部らと面会した。
軍監察官は軍事法廷に対し、カビラ氏が殺人、強姦、追放、拷問を含む戦争犯罪を犯したとして、死刑を求刑した。
カビラ氏はコメントを出していない。
カビラは今年4月、東部の和平を支援するため帰国すると発表。コンゴ政府は同月後半、カビラ氏の政党PPRDに活動停止を命じ、その資産を差し押さえた。
連邦議会は5月末、カビラ氏の免責特権を解除する議案を賛成多数で可決した。
M23が主導する「コンゴ川同盟」は1月末に東部の最大都市である北キブ州ゴマを占領。その後、東部第2の都市である南キブ州ブカブに進軍、制圧した。
政府とM23は7月19日、カタール・ドーハで数十年に渡る紛争を終結させるための原則宣言に署名した。
この宣言には恒久的な停戦と和平協定締結に向けたコミットメントが盛り込まれている。
和平協定は8月18日までに締結される予定であったが、折り合いがつかず、締結には至っていない。
合意の条件には「民間人の保護」と、紛争で避難を余儀なくされた市民数百万人の安全な帰還が含まれている。
M23はルワンダとウガンダの支援を受けていたコンゴのツチ族武装集団の元戦闘員で構成され、2009年3月に締結された和平協定により、コンゴ軍に編入された。
しかし、M23の戦闘員はコンゴ軍に編入された後もルワンダ国境付近で活動を続け、13年の紛争に敗れるとルワンダやウガンダに逃亡。21年11月頃から活動を活発化させ、北キブ州の複数の集落を占領した。
コンゴ、米国、国連安保理はルワンダ政府がM23を支援していると指摘。ルワンダは長年、この主張を否定してきた。
1994年のルワンダ大虐殺に関与したとされるフツ族の住民数千人がコンゴ東部に逃げ込んで以来、両国の関係は緊張状態にある。
M23はコンゴに逃げ込んだフツ族の掃討を目指しているものとみられる。ルワンダはコンゴ政府が組織的に大虐殺の加害者であるフツ族を匿っていると主張している。
ルワンダ大虐殺の犠牲者は80万~100万人と推定されている。フツ族の過激派はツチ族だけでなく、フツ族の穏健派も殺害した。
国連はコンゴ国内で活動するルワンダ兵を最大4000人と推定している。
政府とM23による戦争は世界最大級の人道危機に発展。700万人以上が避難を余儀なくされている。
国際社会はこの紛争が1990年代から2000年代の第2次コンゴ戦争のような規模に発展することを恐れている。この戦争では500万~600万人が死亡したと推定されている。
国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)は20日、M23が先月、少なくとも141人の市民を殺害したと明らかにした。