スーダン・ダルフール地方で23人餓死、RSFが「兵糧攻め」
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
.jpg)
アフリカ北東部・スーダンの人権団体は26日、北ダルフール州エルファーシルで人道危機が拡大し、少なくとも23人が餓死したと明らかにした。
人権団体「スーダン医師中央委員会」は準軍事組織「即応支援部隊(RSF)」がエルファーシルを包囲し、兵糧攻めを行っていると非難。国際社会に内戦を終結させるよう訴えた。
同委員会によると、市内で今月栄養失調により死亡した人は少なくとも23人。その中には5人の妊婦と子供が含まれていた。
スーダン医師中央委員会は声明で、RSFが兵糧攻めで民間人の生存権を奪い、「飢餓地獄」を引き起こしていると非難。これを戦争犯罪と呼んだ。
また同委員会は国連と国際社会が何の手も打たず、この内戦を放置していると非難した。
軍政とRSFは23年4月から首都ハルツームなどの支配権を争っている。
この内戦は世界最悪の人道危機に発展。人口の半数以上にあたる約2500万人が飢餓に直面し、数万人が死亡、1400万人以上が避難を余儀なくされ、うち約500万人が周辺国に逃れたと推定されている。
激戦が続くダルフール地方では数千人が餓死者したという情報もある。被害の全容は明らかになっておらず、調査が進む目途も立っていない。
国連は23年4月~24年6月の間にハルツームだけで2万6000人以上が死亡。さらに数千人が病気や栄養失調などで死亡したと推定している。
正確な死傷者数は明らかになっていないが、昨年公表されたデータによると、開戦から14カ月間でハルツームだけで6万1000人が死亡した可能性がある。
RSFのダガロ(Mohammed Hamdan Dagalo)司令官は先月末、軍政に対抗するもうひとつの政府「スーダン建国同盟指導評議会(TASIS)」の最高指導者に就任した。
RSFはこの1年間、ダルフールの中で唯一支配下にないエルファーシルへの攻撃を続けてきた。
エルファーシルはハルツームの南西800キロに位置し、ダルフールにおける軍事政権の最後の主要拠点となっている。RSFは24年5月からエルファーシルを包囲している。
ダルフール紛争は2003年に始まった武力衝突である。主にアラブ系民兵「ジャンジャウィード」と、非アラブ系住民を主体とする反政府勢力との間で発生した。
反政府勢力は、政府が自分たちの地域を経済的・政治的に冷遇していると主張し、武装蜂起に至った。政府は反乱鎮圧のためジャンジャウィードを支援したが、彼らは村を襲撃し、民間人に対する虐殺や強姦、略奪を繰り返した。これにより数十万人が死亡し、数百万人が難民となった。
国際社会はこの行為を人道に対する罪やジェノサイドと非難し、国際刑事裁判所(ICC)は当時の大統領オマル・バシル (Omar al-Bashir)に逮捕状を出した。紛争は終結しておらず、現在も不安定な状態が続いている。