◎マリ軍政は2020年のクーデターで政権を掌握し、旧宗主国フランスとの関係を断ったうえで、ロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、イスラム過激派掃討作戦を開始した。
西アフリカ・マリの反政府勢力が2日、北部の軍事基地を占領したと発表した。
トゥアレグ族で構成される反政府勢力の報道官はAP通信の取材に対し、「北部のサヘル地域にある軍政の拠点のひとつを占領し、兵士を追い出した」と語った。
軍政はこの主張に関する声明を出していないが、報道官のひとりは1日にX(旧ツイッター)アカウントを更新し、「テロリストがサヘルの砂漠地帯にある軍事基地を取り囲み、銃撃戦になっている」と投稿していた。
マリ政府はトゥアレグ族の反政府勢力をテロ組織に指定している。
反政府勢力の報道官によると、特殊作戦部隊は軍事基地とその周辺の安全を確立し、軍用車11台、武器、弾薬、爆発物などを押収したという。
報道官はAPに「この作戦はトゥアレグ人が生活する北部地域の征服を試みるテロ国家の拠点を奪う取り組みのひとつである」と語った。
この反政府勢力は独自に策定した北部地域の平和・安全・開発のための恒久的戦略枠組み(CSP-PSD)に基づき、独立国家の建設を目指している。
APによると、反政府勢力はサヘル地域内にある軍政の基地をこれまでに少なくとも4つ占領したという。
マリ軍政は2020年のクーデターで政権を掌握し、旧宗主国フランスとの関係を断ったうえで、ロシアの民間軍事会社ワグネルと契約を結び、イスラム過激派掃討作戦を開始した。
しかし、国際テロ組織アルカイダやイスラム国(ISIS)系組織によるテロ攻撃は一向に収まらず、勢いを増しているように見える。
軍政はこの3年、ワグネルと連携して過激派と戦ってきたが、攻撃を食い止めることに苦労している。さらにトゥアレグ族の攻勢にもさらされ、難しい対応を迫られているようだ。
地元の人権団体によると、イスラム過激派との戦いは北部の広い範囲に拡大し、年明け以降、暴力事件が1日平均4件発生している。
国連安全保障理事会は今年、マリで10年に渡って活動してきた国連マリ多次元統合安定化派遣団(MINUSMA)の活動終了を全会一致で採択した。
MINUSMAが8月に撤退任務の第一段階を終えて以来、暴力事件の件数は2倍以上に増加している。