◎マリのPKO活動は世界で最も多くの死傷者が出している。
国連マリ多面的統合安定化ミッション(MINUSMA)は20日、マリ中部のパトロール部隊が道路に設置されていた即席爆発装置(IED)の爆発に巻き込まれ、PKO要員3人が死亡したと発表した。
MINUSMAはツイッターに声明を投稿。「3人が死亡、5人が重傷を負った」と報告した。死傷者の国籍は明らかにしていない。
マリのPKO活動は世界で最も多くの死傷者が出している。
国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は先月、2013年7月以降のマリ国内におけるPKO活動で要員165人が死亡、687人が負傷したと明らかにした。
MINUSMAのレポートによると、サヘル地域で活動するイスラム過激派はIEDによるテロ攻撃を多用しているという。
2013年7月以降のマリ国内におけるIEDを使ったテロ件数は548件。PKO要員103人が死亡し、638人が負傷した。
過激派の暴力を鎮圧できないマリ政府への怒りはクーデターに発展した。
2020年8月のクーデターで政権を掌握したゴイタ(Assimi Goita)大佐はロシアとの関係を強化し、民間軍事会社ワグネルと契約を結んだ。これにより、旧宗主国フランスの関係は著しく悪化した。
仏軍は昨年、マリの駐留軍を完全撤退させ、その多くを隣国のニジェールに再配備した。仏軍の主力部隊は現在、チャドとニジュールに駐留している。サヘル地域で活動する仏兵は約3000人。
マリ軍政は過激派との戦いを有利に進めていると主張している。
欧州理事会のミシェル(Charles Michel)常任議長は先週、マリは過激派の台頭を許し、崩壊しつつあると懸念を表明した。マリ軍政はこの発言に反発している。
サヘル地域における過激派の反乱は2012年にマリ北部で自治を求めるトゥアレグ人の反乱と同時期に始まった。
仏軍はこれを抑えるために「バルハン作戦」を開始し、2015年にはマリ中央部に部隊を展開した。しかし、過激派はそれ以降も活動を続け、隣国ニジェール、ブルキナファソ、チャドにも深刻な影響を与えている。
ドイツ政府は昨年11月、MINUSMAから部隊を撤退させると発表。マリ軍政とロシアがつながりを深めていることに懸念を示した。
イギリスも時期は未定だが、MINUSMAから部隊を撤退させると発表している。