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サヘル諸国連合首脳会議、過激派に対する「大規模作戦」実施へ

サヘル地域はサハラ砂漠の南部に広がる広大な地域で、イスラム過激派組織「アルカイダ」や「イスラム国(ISIS)」と関係する武装勢力が活発に活動しており、世界で最も危険な過激主義のホットスポットになっている。
2025年12月23日/左からブルキナファソ、マリ、ニジェールの軍事政権指導者(AP通信)

アフリカ西部・マリ、ブルキナファソ、ニジェールの3カ国は23日、マリの首都バマコで開かれた安全保障・開発に関する首脳会議において、過激派組織に対する共同の大規模作戦を近日中に実施する意向を表明した。これはサヘル地域での過激派主義による暴力を食い止める試みであり、先ごろ発足した3カ国による共同軍(約5000人規模)の活動開始に続く動きと位置付けられている。

この共同軍は2023年に結成された「サヘル諸国連合(AES)」の下で運用される部隊で、マリ、ブルキナ、ニジェールの各軍が参加する。ブルキナ軍政の司令官であるトラオレ(Ibrahim Traore)大尉を長として、共同軍の立ち上げを踏まえ「数日のうちに大規模作戦を実施する」と強調した。しかし、具体的な作戦内容や時期に関する詳細は明らかにしていない。

サヘル地域はサハラ砂漠の南部に広がる広大な地域で、イスラム過激派組織「アルカイダ」や「イスラム国(ISIS)」と関係する武装勢力が活発に活動しており、世界で最も危険な過激主義のホットスポットになっている。この3カ国では近年相次いでクーデターが発生し、治安部隊の能力不足と相まってこれらの脅威に対応できずにいる。

首脳会議では安全保障面だけでなく経済協力の強化についても合意が図られた。共同軍の設立は週末に行われたばかりであり、司令官たちはこれを契機に3カ国間の連携を深化させる決意を示した。

ニジェールのチアニ(Abdourahmane Tchiani)将軍は記者団に対し、「連合が本国における全ての占領を終わらせた」と述べ、旧来の軍事パートナーであるフランスや米国軍の撤退を改めて強調した。これにより、3カ国は自国の安全保障政策に関して「いかなる国や利害関係者も決定権を持たない」と主張する。

一方で、3カ国は欧米勢力の撤退後、ロシアとの軍事協力を強化しており、ロシアを主要な安全保障パートナーとして位置付けていることが各国の発言や動向からうかがえる。しかし専門家は、サヘル地域の複雑な安全保障危機は容易に克服できるものではなく、どのような国・組織が関与しても難しい局面が続くとの見方を示している。

この会議はAESの2回目の年次首脳会議であり、国際社会からの制裁や関係悪化にもかかわらず、3カ国の協力は強まっていると評価されている。連合は国境を越えた軍事作戦だけでなく、経済統合や政治協力の深化にも取り組む方針を打ち出しており、地域の安全保障だけでなく、政治・経済面での協調強化を図っているとみられる。

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