マリ共和国、「西サハラ」のモロッコ自治案を支持、方針転換
西サハラはかつてスペインの植民地であり、1975年の撤退後にモロッコが領有を主張してきた。
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アフリカ西部・マリ共和国が「西サハラ(サハラ・アラブ民主共和国)」問題をめぐる外交方針を大きく転換した。軍事政権は10日、係争地である西サハラに関し、モロッコ政府が提案する自治案を支持すると表明し、西サハラへの支持を撤回した。
それによると、マリ軍政はモロッコの主権を前提としつつ、西サハラに自治権を付与する案を「現実的かつ信頼できる解決策」と評価した。この決定により、マリは長年続く対立構造の中で立場を大きく変更したことになる。
西サハラはかつてスペインの植民地であり、1975年の撤退後にモロッコが領有を主張してきた。一方で、先住民族を代表する武装組織「ポリサリオ戦線」は独立国家の樹立を目指し、西サハラの建国を宣言・対抗している。両者の対立は半世紀近く続き、「アフリカ最後の植民地問題」とも呼ばれる長期紛争となっている。
モロッコの自治案は西サハラに独自の立法・行政・司法機関を設ける一方で、防衛や外交などの権限はモロッコが保持する内容である。これに対しポリサリオ側は独立の選択肢を含む住民投票の実施を求めており、双方の立場は依然として大きく隔たっている。
国際社会の動向も変化している。国連安全保障理事会は昨年、モロッコの自治案を交渉の基盤と位置づけ、「現実的な解決策」と評価したが、最終的な地位については明確にしていない。また、欧州諸国や米国、アフリカの一部諸国も同案への支持を表明し、モロッコ寄りの流れが拡大している。
こうした中でのマリの方針転換は地域の政治バランスにも影響を与える可能性がある。特に、ポリサリオ戦線を支援するアルジェリアとの関係が緊張していることが背景にあるとみられており、今回の決定は外交的な再編の一環とも指摘されている。
さらに、アフリカ諸国の間では近年、モロッコの立場を支持する動きが相次いでいる。ケニアやガーナなども同様に自治案支持を表明し、在外公館の設置などを通じてモロッコの実効支配を事実上認める国が増えている。
今回のマリの決定は西サハラ問題の外交的構図に新たな変化をもたらすもので、長期化する紛争解決に向けた国際的な力学にも影響を与えるとみられる。一方で、独立を求める勢力やその支援国との対立は依然として根強く、最終的な解決への道筋はなお不透明なままである。
