マリとブルキナファソ軍政、米国民の渡航禁じる、26年1月1日発効
この措置は2026年1月1日に発効される予定で、外交関係に新たな緊張をもたらしている。
とマリのゴイタ大将(Getty-Images).jpg)
マリとブルキナファソの軍事政権は2025年12月31日、米国籍者に対して渡航禁止措置を導入すると発表した。これはトランプ政権が同月中旬に両国を含む複数の国の国民に対して入国禁止措置を拡大したことへの対抗措置であるとみられている。この措置は2026年1月1日に発効される予定で、外交関係に新たな緊張をもたらしている。
発表は両国の外務省がそれぞれ独自に行ったもので、いずれも「相互主義」の原則に基づくものだと強調した。マリ外務省は声明で、米国がマリ国民に課している入国条件や要求と同一の条件を、即時に米国籍者に適用すると述べた。またブルキナ外務省も同様の措置を取るとし、「主権国家間の相互尊重と平等の原則に基づく」と説明した。
米国は12月16日付で、マリとブルキナに加え他の数か国を対象に、国民の完全入国禁止を拡大する大統領令を発出した。この措置は、対象国が米国への渡航者に対する適切な事前審査や情報共有を行っていないとして、「国家安全保障および公共の安全を脅かす可能性」を理由に挙げていた。ホワイトハウスは声明で、これらの国々が十分な水際対策を実施していないと判断したと説明している。
マリとブルキナは共にサヘル地域に位置し、近年治安悪化が続いている。両国ではクーデター後に軍政が発足し、地域の政治的安定や治安対策が国際的な懸念となっている。また、こうした背景からEUや米国などとの関係が冷え込み、ロシアとの関係強化を図る動きも見られる。
ロイター通信によると、このような相互渡航禁止は初めてのことではなく、既に近隣のニジェール軍政も同様の対抗措置を取っている。ニジェールは12月25日、米国籍者に対するビザ発給停止を発表、地域内で同様の動きが広がっていることを示している。
今回の動きは両国がトランプ政権による措置を「一方的」と批判する理由とも結びついている。マリは米国側の決定について「現地の実情に基づいていない」と不満を示しており、事前の協議や通知がなかった点も問題視しているという。
専門家は、これらの相互措置が地域の外交関係に複雑さを加えると指摘している。米国とサヘル諸国はこれまで、テロ対策や安全保障協力を主要な協力課題としてきたが、今回の対立により協力関係の先行きが不透明になりつつある。また、渡航禁止は民間人やビジネス関係者にも影響を及ぼす可能性があり、国際社会が注視している。
マリとブルキナは今後も「相互主義」を掲げる姿勢を崩しておらず、米国側の対応によってはさらなる外交的対抗策を講じる可能性もある。両国は自国の主権と尊厳を守ることを強調しており、引き続き国際社会との関係調整を模索する構えだ。
