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マラウイ地方議会選、ムタリカ前大統領の政党がリード

マラウイのインフレ率は過去3年間、20%超を維持。多くの国民がチャクウェラ政権の政策に不満を表明してきた。
2025年9月17日/マラウイ、地方議会選の投票箱を運ぶ選挙管理委員会の職員(AP通信)

アフリカ南東部・マラウイで9月16日に行われた地方議会選挙について、選挙管理委員会が21日に公表した暫定データによると、ムタリカ(Peter Mutharika)前大統領の政党がリードをしている。

36の地方自治体のうち4分の1で集計が終わり、現職のチャクウェラ(Lazarus Chakwera)大統領の政党は後れを取っているようだ。

ムタリカ派は36自治体中9自治体で有効投票の50%を獲得。チャクウェラ派は39%であった。

候補者は有効投票の50%超を獲得しなければ当選できず、それ以下の場合は上位2人の決選投票が行われる。

地元メディアはムタリカ派とチャクウェラ派の二強対決になると予想していた。

チャクウェラ氏は70歳の元牧師。5年前に選出されたが、それ以来、マラウイの経済は停滞している。

マラウイのインフレ率は過去3年間、20%超を維持。多くの国民がチャクウェラ政権の政策に不満を表明してきた。

マラウイの経済は農業依存度が極めて高く、GDPの約3割、就業人口の8割以上が農業に従事している。主要輸出品はタバコ、茶、砂糖であり、特にタバコは外貨収入の大半を占める。しかし近年は世界的な禁煙政策の広がりや価格低下により収益が不安定化し、輸出の多角化が急務となっている。

国内産業は脆弱で工業化はほとんど進んでおらず、加工産業や製造業の基盤が乏しいため付加価値を国内に残せていない。さらに、人口増加による食糧需要の増大と気候変動による干ばつや洪水が農業生産を直撃し、慢性的な食糧不足を引き起こしている。

電力供給の不安定さやインフラ未整備も経済成長を阻む要因である。政府はIMFや世界銀行の支援を受けつつ、農業近代化や再生可能エネルギー開発を進めているが、腐敗や財政赤字が障害となっている。

結果としてマラウイは依然として世界最貧国の一つに位置づけられ、持続的な発展には農業依存からの脱却と雇用創出が不可欠とされている。

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