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マダガスカル大統領、陸軍大将を首相に任命、抗議デモ続く中

首都アンタナナリボのデモは3週目に突入。数百人が街頭に繰り出し、ラジョエリナ氏に辞任を要求した。
アフリカ南東部沖の島国マダガスカルのラジョエリナ大統領(Getty Images/AFP通信)

アフリカ南東部沖の島国マダガスカルのラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領は6日、停電と断水をめぐる抗議デモが続く中、陸軍大将を首相に任命した。

ラジョエリナ氏は先月末、停電と断水に抗議するデモが暴動に発展し、治安部隊の取り締まりによって死傷者が出たことを受け、全閣僚を解任した。

ラジョエリナ氏は声明で、陸軍大将のザフィサンボ(Ruphin Fortunat Zafisambo)氏は首相に任命し、組閣を命じたと明らかにした。

ザフィサンボ氏は首相府の軍事担当局長を務めていた。

任命に先立ち、ラジョエリナ氏は「秩序と国民の信頼を回復できる首相が必要だ」と強調した。

またラジョエリナ氏は「新政府の最優先課題は電力と水道の供給回復である」と付け加えた。

首都アンタナナリボのデモは3週目に突入。数百人が街頭に繰り出し、ラジョエリナ氏に辞任を要求した。

ロイター通信によると、治安部隊は6日、アンタナナリボのデモ隊に向けて催涙ガス弾を発射したという。ケガ人と逮捕者の情報はない。

マダガスカルの電力・水道インフラは発展途上にあり、多くの課題を抱えている。特に農村部ではインフラ整備が遅れており、都市部と地方で大きな格差が存在する。

電力インフラについては、全国の普及率は約30%程度にとどまり、農村部に限れば10%以下という統計もある。主な電力供給源は水力発電とディーゼル発電であるが、老朽化した設備や管理体制の不備により、電力供給は不安定である。アンタナナリボを含む都市部でも停電が頻繁に発生し、経済活動や生活に大きな影響を与えている。また、国営電力会社JIRAMAは慢性的な財政赤字を抱えており、電力料金の高騰やサービスの質の低下が問題となっている。

一方、水道インフラも深刻な状況にある。都市部では給水サービスが存在するものの、配管の老朽化や水源の汚染により、安全な飲料水の確保が困難な地域が多い。農村部では井戸や河川から水を汲むのが一般的であり、衛生状態は劣悪である。下水道インフラはほとんど整備されておらず、家庭や工場の排水が無処理のまま自然環境に流されるケースも多い。このような状況は水系感染症の拡大を招き、健康面でも深刻な影響を及ぼしている。

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