マダガスカル大統領が国外に逃亡、抗議デモ抑えられず、軍が全権掌握
首都アンタナナリボで11日と12日に行われた抗議デモには陸軍の特殊部隊を含む多くの軍兵士が参加。ラジョエリナ氏に辞任を求めていた。
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アフリカ南東部沖の島国マダガスカルのラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領が国外に逃亡した。現地メディアが13日に報じた。
首都アンタナナリボで11日と12日に行われた抗議デモには陸軍の特殊部隊を含む多くの軍兵士が参加。ラジョエリナ氏に辞任を求めていた。
慢性的な停電・断水に抗議する若者主導のデモは9月25日に始まり、政府はアンタナナリボなど主要都市に夜間外出禁止令を発令している。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は一連の暴動と治安部隊による取り締まりで少なくとも22人が死亡したと報告しているが、政府はこの数字を否定している。
デモ隊は警察の取り締まりが強まるにつれ、政治家の汚職や縁故主義に抗議するようになった。
ラジョエリナ氏は先月末に全閣僚を解任し、デモ隊に対話を呼びかけたが、若者たちの怒りは収まらず、ラジョエリナ氏にも辞任を求めていた。
ラジョエリナ氏は12日の声明で、軍部隊によるクーデターが発生していると明らかにしていた。
複数の野党議員がX(旧ツイッター)やフェイスブックなどに声明を投稿。「大統領は軍の支持を失い、国民を置いて逃げ出した」と非難した。
ラジョエリナ氏は13日にテレビ演説を行う予定であったが、現地メディアによると、軍部隊が国営メディアを乗っ取ったため、放送できなくなったという。
AP通信は情報筋の話しとして、「ラジョエリナ氏はフランス軍機で出国した」と伝えている。フランスはマダガスカルの旧宗主国である。
マダガスカル大統領府はラジョエリナ氏の行方についてコメントしていない。
2009年のクーデターでラジョエリナ氏を支援した陸軍特殊部隊は声明で、「軍の全指揮権を掌握した」と表明した。
フランス大統領府と外務省もラジョエリナ氏の国外退避についてコメントしていない。
2009年のクーデターはアンタナナリボの市長であったラジョエリナ氏が主導。ラジョエリナ氏はラベロマナナ(Marc Ravalomanana)前大統領の独裁的な政治運営に反発し、首都で大規模な抗議運動を展開した。
抗議活動は次第に激化し、治安部隊との衝突も発生。軍の一部がラジョエリナ氏側に寝返ったことで、政権は弱体化した。ラベロマナナ氏は2009年3月に辞任し、権限を軍に委譲。軍はその後、ラジョエリナ氏を暫定大統領として任命した。
このクーデターは国際社会から非難を浴び、アフリカ連合やEU、国連などはマダガスカルの加盟資格停止や経済援助の凍結などの措置を取った。政情不安はその後も続き、民主的な秩序の回復には数年を要した。