マダガスカル反政府デモに軍兵士が参加、クーデター発生か
首都アンタナナリボで11日と12日に行われた抗議デモには陸軍の特殊部隊を含む多くの軍兵士が参加し、ラジョエリナ氏に辞任を求めた。
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アフリカ南東部沖の島国マダガスカルのラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領は12日、軍部隊によるクーデターが発生していると表明した。
現地メディアによると、首都アンタナナリボで11日と12日に行われた抗議デモには陸軍の特殊部隊を含む多くの軍兵士が参加し、ラジョエリナ氏に辞任を求めたという。
慢性的な停電・断水に抗議する若者主導のデモは9月25日に始まり、政府はアンタナナリボなど主要都市に夜間外出禁止令を発令している。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は一連の暴動と治安部隊による取り締まりで少なくとも22人が死亡したと報告しているが、政府はこの数字を否定している。
デモ隊は警察の取り締まりが強まるにつれ、政治家の汚職や縁故主義に抗議するようになった。
ラジョエリナ氏は先月末に全閣僚を解任し、デモ隊に対話を呼びかけたが、若者たちの怒りは収まらず、ラジョエリナ氏にも辞任を求めている。
ラジョエリナ氏はクーデターの詳細に言及しなかった。現地メディアによると、12日の抗議デモで暴力が確認されず、発砲や爆発もなかった。
デモに参加した精鋭部隊の大佐はクーデターを否定。記者会見で、「我々は国民の呼びかけに応えただけだ」と語った。
この記者会見に出席した将軍は記者団から「大統領に辞任を求めるか?」という呼びかけを無視した。
一部の地元メディアは情報筋の話しとして、ラジョエリナ氏が国外に逃亡する可能性があると伝えている。
AP通信によると、ラジョエリナ氏は大統領府にとどまっているとみられる。
この特殊部隊は2009年のクーデターで中心的な役割を果たした。
このクーデターはアンタナナリボ市長であったラジョエリナ氏が主導。ラジョエリナ氏はラベロマナナ(Marc Ravalomanana)前大統領の独裁的な政治運営に反発し、首都で大規模な抗議運動を展開した。
抗議活動は次第に激化し、治安部隊との衝突も発生。軍の一部がラジョエリナ氏側に寝返ったことで、政権は弱体化した。ラベロマナナ氏は2009年3月に辞任し、権限を軍に委譲。軍はその後、ラジョエリナ氏を暫定大統領として任命した。
このクーデターは国際社会から非難を浴び、アフリカ連合や欧州連合、国際連合などはマダガスカルの加盟資格停止や経済援助の凍結などの措置を取った。政情不安はその後も続き、民主的な秩序の回復には数年を要した。