◎マダガスカル警察はまれに人権侵害を指摘されることもあるが、軍事政権国家のように市民に発砲することはほとんどない。
マダガスカル当局は29日、東部イコンゴで警察が市民に発砲し、少なくとも14人が死亡、28人が負傷したと発表した。
事件は首都アンタナナリボの南約350kmに位置するイタンゴの拘置所で発生した。
報道によると、この地区ではアルビノ(先天性色素欠乏症)の子供が誘拐されたことに対する抗議デモが行われていたという。
イコンゴの地元議員はAP通信の取材に対し、「警察官が拘置所に押し入ろうとした市民に向け発砲し、多数の死傷者が出た」と語った。
地元の医療関係者によると、その場で9人の死亡を確認し、病院で5人が死亡したという。
地元警察はアルビノの子供を誘拐したされる4人を逮捕、拘留した。しかし、子供の誘拐に激怒した人々はこの4人を私刑に処すべく拘置所に突撃、乱闘になったと伝えられている。
一部のアフリカ諸国ではアルビノの人の身体の一部が幸運をもたらすと信じられており、誘拐や襲撃事件が相次いでいる。国連によると、マダガスカルではこの2年間でアルビノに関連する誘拐や殺人が数十件確認されたという。
イコンゴの地元警察によると、誘拐事件に激怒した市民少なくとも500人は29日早朝、拘置所で容疑者4人を引き渡すよう要求したという。
その中にはナタや斧を持った者もおり、まもなく警察ともみあいになった。
AFP通信は警察筋の話を引用し、「対応に当たった警察官は人々と話をしたが、止められなかった」と報じている。警察官は群衆を分散させるために空に向かって威嚇射撃した。
しかし、一部の市民は強引に拘置所に押し入ろうとしたとみられる。AP通信の取材に応じた当局者は「発砲せざるを得なかった」と説明した。
マダガスカル警察はまれに人権侵害を指摘されることもあるが、軍事政権国家のように市民に発砲することはほとんどない。