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マダガスカルで停電・断水に抗議するデモ、一部が暴徒化、略奪も

首都アンタナナリボで25日に行われたデモには数百人が参加。その一部が暴徒化し、各地で略奪行為が確認された。
2025年9月25日/マダガスカル、首都アンタナナリボ、停電と断水に抗議するデモ(ロイター通信)

アフリカ南東部沖の島国マダガスカルの政府は25日、停電と断水に抗議するデモが暴動に発展したことを受け、夜間外出禁止令を発出した。

デモ隊は計画停電および断水が常態化していることに抗議している。

現地メディアによると、首都アンタナナリボで25日に行われたデモには数百人が参加。その一部が暴徒化し、各地で略奪行為が確認されたという。

AP通信は複数の駅が放火され、鉄道職員が避難を余儀なくされたと報じた。

地元メディアは、暴徒がラジョエリナ(Andry Rajoelina)大統領に近い政治家3人の自宅を襲撃したと伝えている。負傷者の情報はない。

国家警察はこの事態を受け、政府の指示に基づき、25日の午後7時から26日午前5時まで夜間外出禁止令を発令すると発表した。

マダガスカルの電力インフラは十分に整備されておらず、全国的に供給が不安定である。総発電容量は約1500メガワット程度であり、主に水力発電、火力発電、バイオマス発電に依存している。特に水力発電が全体の約60%を占めるが、降雨量や季節変動に影響を受けやすく、乾季には発電量が不足することがある。

全国の電力網の整備も限定的であり、都市部を中心に送電網が存在するものの、地方部では電力が供給されない地域が多い。その結果、農村部では住民が個別の小型発電機や太陽光パネルに頼るケースが多い。電力アクセス率は全国平均で約20%にとどまり、都市部でも半数程度の世帯しか安定した電力を利用できない。

一方、水道インフラについても課題が多い。都市部では水道施設が整備されているものの、老朽化や管理不十分による供給不安定が問題となっている。特にアンタナナリボなど主要都市では、水道水の供給は一日数時間に限られることがある。地方部では上下水道の整備率が極めて低く、多くの住民が井戸水や河川水に依存している。安全な飲料水へのアクセスも限定的であり、水質汚染や衛生管理の不足が健康問題を引き起こす要因となっている。

マダガスカルは電力・水道ともに基盤整備が遅れており、インフラの近代化と供給安定化が課題である。政府や国際機関は小規模再生可能エネルギーの導入や上下水道の改善を進めているが、財政・技術面の制約により進展は緩やかである。今後、地方部を含めたインフラ整備が経済発展や生活改善に直結する重要な課題となっている。

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