コンゴ反政府勢力M23、東部の要衝ウビラを制圧、SNSで主張
ウビラはタンガニーカ湖の北端に面した港湾都市でブルンジの最大都市ブジュンブラの対岸に位置する。地域の交通・物流の要所として、軍事的にも経済的にも重要性が高い。
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コンゴ民主共和国の反政府勢力「M23(3月23日運動)」は10日、東部・南キブ州の要衝のひとつであるウビラを制圧したと発表した。M23の広報担当がSNSへの投稿で明らかにした。
M23は声明で、ウビラの支配権を掌握したと主張。市民に対し、自宅に戻るよう呼びかけた。
ウビラはタンガニーカ湖の北端に面した港湾都市でブルンジの最大都市ブジュンブラの対岸に位置する。地域の交通・物流の要所として、軍事的にも経済的にも重要性が高い。
今回の制圧は今月初めから始まったM23の急速な攻勢の成果であり、先週、コンゴとルワンダの両大統領が米国で署名した和平合意にもかかわらず実施された。だが、この合意にはM23は含まれておらず、同勢力は別の交渉ルートを維持している。
合意には「ルワンダ政府はM23への支援を停止する」との約束が含まれていた。
現地メディアによると、ウビラ市内で大きな戦闘は確認されていない。政府軍は撤退したとみられ、郊外で戦闘が続いているという情報もある。
中央政府はウビラ陥落についてコメントしていない。
コンゴ東部では鉱物資源を巡って100以上の武装グループが勢力争いを続けており、M23はその中でも最も強力な集団のひとつとされる。紛争の長期化により、人道危機が深刻化しており、700万人規模の国内避難民が発生していると報告されている。
M23は今年初めに東部の最大都市ゴマ(北キブ州)と南キブ州ブカブなどを制圧。今回のウビラ制圧はそれに次ぐ重要な戦略拠点の喪失を意味する。これにより、M23の勢力圏と統制地域の拡大が改めて示された。
一方で、国際社会や地域の関係国、特に隣国ブルンジへの影響や難民流入への懸念が高まっている。また、和平合意の実効性についても、現地での軍事的現実が外交的な枠組みを上回っているとの見方が広がっている。
M23によるウビラ制圧は単なる都市の陥落ではなく、コンゴ東部における勢力均衡の変化、資源支配の争奪、そしてさらなる人道危機の深刻化を示す事件である。今後の国際社会の対応、隣国との関係、コンゴ国内の安定に大きな影響を及ぼす可能性がある。
