コンゴ反政府勢力M23、東部ウビラからの撤退表明、米国の要請受け
ウビラはタンガニーカ湖岸に位置し、ブルンジ国境に近い交通・経済の要衝である。
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コンゴ民主共和国の反政府勢力「M23(3月23日運動)」が16日、今月制圧した東部・南キブ州ウビラから撤退する意向を表明した。この動きは米国の要請に応じた「信頼醸成措置」とされ、和平プロセスを前進させる意図があるとしている。
M23は今月初旬にウビラを掌握した。ウビラはタンガニーカ湖岸に位置し、ブルンジ国境に近い交通・経済の要衝である。M23はこの制圧によって、政府軍や民兵勢力を押し退ける一方、数十万人の住民が避難を余儀なくされた。コンゴとルワンダの和平合意が米ワシントンDCで署名された直後の進攻だったため、国際的な批判が強まっていた。
M23が主導する「コンゴ川同盟」の指導者であるコルネイユ・ナンガア(Corneille Nangaa)氏は声明で、ウビラからの撤退は米国の仲介要請に沿った ものであると説明した。同時に同勢力はウビラの非武装化や民間人・インフラの保護、中立的な監視体制の設置を求めている。これらの措置は停戦監視や地域の安定化に寄与すると主張している。
しかし、撤退の発表があった時点でも現地では依然としてM23戦闘員が街にとどまっているとの報告があり、実際に撤収が進んでいるかは確認が困難な状況だ。地元住民や報道によると、治安情勢は依然として不安定で日常生活は制限されているという。
ウビラを含むM23の勢力拡大は今年に入り同勢力がコンゴ東部で繰り広げてきた攻勢の延長線上にある。M23はこれまでに東部の最大都市ゴマや第2の都市ブカブを制圧。その他地域でも政府軍と激しい戦闘を展開し、少なくとも数百人の死者と多数の避難民を出している。戦闘はブルンジ国境に近い地域でも継続し、周辺国への波及を危惧する声が強まっている。
一方、国際社会はルワンダ政府がM23を支援していると繰り返し非難している。米国や国連はルワンダ政府が反乱軍を支援しているとする報告を示しており、ルワンダ側はこれを否定しているものの、地域の緊張は高まっている。
M23撤退の発表はカタールの首都ドーハで進められている和平交渉への前向きな動きと位置付けられている。ドーハの交渉ではコンゴ政府とM23の包括的な停戦と政治的解決を目指す枠組み合意が議論されているが、今回のウビラ制圧で和平プロセスは揺らいでいた。撤退表明はその信頼回復につながる可能性があるとしている。
コンゴ政府側はM23の進攻を領土保全の重大な違反とみなし、国際的支援を求めている。現地では軍隊と民兵が再編成され抵抗を強化しており、ウビラ奪還を含む軍事的対応も検討されていると伝えられている。和平と軍事衝突回避の両立が今後の鍵となる情勢だ。
ウビラ撤退が実行されれば、数十年に及ぶコンゴ東部の紛争解決への一歩となる可能性があるが、住民保護や停戦の恒久的な履行をめぐる課題は依然として残っている。紛争地域では数百万人が人道支援を必要としており、和平プロセスの進展とともに安全確保が急務となっている。
