◎国連公認政府は昨年末に予定していた大統領選挙を実施できず、国際社会を失望させた。
リビア東部の暫定政府は10日、数日以内に首都トリポリに入り、新政権を発足させる予定と明らかにした。
トリポリの国連公認政府は総選挙の実施に向けた取り組みを進めているが、2つの派閥が権力を主張し、再び分裂しようとしている。
東部政府を率いるバシャガ氏はAP通信の取材に対し、「選挙が10年にわたる内戦から抜け出す唯一の方法だと確信しており、新政権樹立後、速やかに選挙を行う」と語った。
国連と米国は双方に自制を求め、トリポリ周辺に展開されている武装集団に撤退を呼びかけた。
リビアの民兵軍は2011年10月にカダフィ大佐を討伐したが、革命で重要な役割を果たしたハリファ・ハフタル司令官率いる東部軍と首都トリポリの国連公認政府はその後激しく対立し、リビアは世界で最も危険な国のひとつになった。
東部の都市トブルクの議員らは先月初めに暫定内閣を発足させ、バシャガ氏が首相に就任した。しかし、首都トリポリには国連公認政府がある。
バシャガ氏はAP通信に、「唯一の政治的解決策は大統領と議会選挙を行うことだ」と語った。
国連公認政府は昨年末に予定していた大統領選挙を実施できず、国際社会を失望させた。その後、東部政府はドベイバ首相の権限は失効したとして、バシャガ氏を新首相に任命し選挙の準備を進めるよう要請していた。
バシャガ氏の就任後、民兵や武装集団は各地で活動を活発化させており、新たな内戦に発展する可能性もあると指摘されている。
ドベイバ首相は辞任要求を拒否し、新たなロードマップを提案したが、東部政府は圧力を強めている。
バシャガ氏は緊張が内戦に発展する可能性を否定したうえで、「膠着状態を平和的に解決するための努力を続ける」と述べた。「内戦も紛争も起きません。我々は2、3日のうちにトリポリに入ります...」
AP通信によると、バシャガ氏はトリポリに入る理由や目的を明らかにしなかったという。
ドベイバ首相とバシャガ氏は西部の都市ミスラタ出身で、カダフィ政権打倒と数々の内戦で大きな役割を果たし、2019年には東部軍のハリファ・ハフタル司令官による首都侵攻を撃退した。
首都占領作戦は国際的な仲介により2020年10月の停戦協定で終結したが、東部と西部の間に長く続く不信感は払しょくされていない。
バシャガ氏はリビアで最も有力な人物の1人と位置づけられており、トルコ、フランス、米国、ロシア、エジプトなどとの関係を深めてきた。
リビアで選挙を行うためには派閥争いだけでなく、論争の的になっている候補者(カダフィ大佐の息子)や選挙を管理する法律など、多くの未解決の問題を解決する必要がある。