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リビア、2つの政府が統一国家予算に署名、10年以上ぶり


リビアでは2014年の内戦以降、首都トリポリを拠点とする西側勢力と、東部を基盤とする対立政権が並立し、国家機関や財政運営も分断されてきた。
リビアの石油施設(Getty Images)

アフリカ北部・リビアで11日、10年以上にわたり分裂していた国家財政の統一に向けた重要な一歩として、統一国家予算が正式に承認・署名された。長年対立してきた東西の政治勢力が合意に達したことで、同国の経済安定と政治統合に向けた進展として注目されている。

リビアでは2014年の内戦以降、首都トリポリを拠点とする西側勢力と、東部を基盤とする対立政権が並立し、国家機関や財政運営も分断されてきた。このため統一された国家予算は2013年以来策定されておらず、公共支出や資源配分を巡る混乱が続いていた。

今回の合意では、東部の議会と西部の国家評議会という二つの主要機関が共同で予算案を承認し、首都トリポリで署名が行われた。総額は約1900億リビア・ディナール(約4.75兆円)に上り、国家財政の枠組みを一本化する内容となっている。

予算の内訳を見ると、公務員給与に約730億ディナール、インフラなどの開発事業に400億ディナール、補助金に370億ディナール、家族手当として180億ディナールが割り当てられた。また、国営石油公社向けに120億ディナール、行政運営費として100億ディナールが計上されている。石油収入に依存する同国にとって、これらの配分は社会安定と経済再建の鍵を握る。

今回の合意は中央銀行が仲介・主導する形で成立した。中銀は声明で、統一予算の承認が金融の安定を強化し、長年続いた財政の分断状態を終わらせる契機になると評価した。また、東西双方が共通のビジョンのもとで合意に至った点を強調し、国家再建に向けた象徴的な成果だと位置付けた。

運用面では、国連が承認する西側政府が給与や補助金、日常的な支出を管理し、開発プロジェクトについては中銀の監督の下で双方が優先順位を協議する仕組みが採られる。これにより、これまで対立の火種となってきた資金配分の透明性向上が期待されている。

さらに、この合意には国際社会の関与もあった。米国の仲介努力が評価されており、関係者は外交的支援が合意形成を後押ししたと指摘している。外部の関与が続く中で、リビアの政治プロセスがどこまで自立的に機能するかも今後の焦点となる。

もっとも、課題は依然として多い。リビアは豊富な石油資源を有する一方で、外貨不足や通貨下落といった経済問題に直面し、財政の一体化が直ちに国民生活の改善につながるかは不透明である。また、政治的対立そのものが解消されたわけではなく、合意の履行には各勢力の継続的な協力が不可欠である。

今回の統一予算は長期にわたる分断状態からの脱却に向けた重要な節目であると同時に、真の国家統合に向けた試金石ともいえる。今後、この枠組みが安定的に機能し、経済再建や治安の改善につながるかが注目される。

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