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ケニア人をロシア軍に派遣、人身売買容疑で33歳男逮捕

検察は容疑者が昨年、25人のケニア人をロシアに送り出したとして人身売買の罪で訴追している。容疑者は国外逃亡を図ろうとしていた。
2026年1月29日/ケニア、首都ナイロビ、ロシア軍のウクライナ侵攻に参加した行方不明になったケニア人の家族(AP通信)

ケニア当局は26日、人身売買の疑いで33歳の男を逮捕・起訴したと明らかにした。逮捕されたのはフェスタス・オムワンバ(Festus Omwamba)容疑者、北部モヤレで拘束され、首都ナイロビの裁判所に送られた。検察は容疑者が昨年、25人のケニア人をロシアに送り出したとして人身売買の罪で訴追している。容疑者は国外逃亡を図ろうとしていた。

警察庁の報道官によると、容疑者はロシアから帰国後に行方をくらませ、家族や支援者らが親族の失踪や戦死について抗議の声を上げたことを受け、身柄を特定・逮捕に至ったという。複数の被募集者がAP通信の取材に応じ、容疑者と面識があると証言している。

ケニア政府は先週、これまでに1000人以上のケニア人がロシアによるウクライナ侵攻に加わるためにリクルートされたと発表した。現時点で戦線にいるとみられる者は89人、39人が病院で治療を受け、28人が行方不明、帰国した者もいる一方で少なくとも1人の死亡が確認されている。容疑者の起訴はこの違法なリクルートを阻止する取り組みにおける重要な進展とみなされている。

AP通信の取材に応じた元募集者によると、容疑者はナイロビ市内の施設に若者らを集め、ロシア行きのビザ(査証)申請や航空券の手配に関与したという。ある元募集者はロシアで配管工の職を得られると説明されて渡航したが、到着後にパスポートを取り上げられ軍事キャンプに連れて行かれ、戦線に配属されたと述べている。別の元募集者は容疑者がテキストメッセージではなく電話や面会で連絡を取り、勧誘を行ったと証言している。

ケニアの情報機関が議会に提出した報告書は、ロシアとケニア双方の高官と呼ばれる人物が、いわゆる「悪質な人材募集会社」と共謀してケニア人を誘引していた可能性を示唆している。この報告を受けて外交当局はロシアとの協議を進めている。ケニア外相は怪しい業者を抑えるためにロシアを訪問する計画を明らかにしていた。ロシア大使館は戦闘目的のビザ発給は行っていないと否定し、「外国人が自発的に軍に入隊することを阻害していない」と声明を出している。

ケニアでは仕事を求める若者らがロシア行きを希望する例が増えていたが、その多くが軍事作戦に従事させられているとの懸念が国内外で高まっていた。国内では家族らが親族の安否や帰国を求める抗議デモを行い、政府に対し救出と保護の強化を求める声が強まっていた。政府は元募集者の保護や、帰国支援体制の強化を進めるとしている。

オムワンバ容疑者の逮捕と起訴は人身売買や違法なリクルートを巡る捜査が本格化したことを示しており、政府は今後もこのような違法行為を断固として取り締まる姿勢を強調している。

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