◎デモは3週間ほど前から首都ナイロビなどの都市部でほぼ毎日行われ、一部の暴徒が店舗を略奪したり、建物に火を放ったりした。
ケニアのルト(William Ruto)大統領は5日、一部の閣僚や与党議員の「傲慢な態度」を非難し、増税法案に抗議する市民に対し、武器を置き、対話で問題を解決するよう促した。
ルト氏は演説で「一部の役人が傲慢な態度を取り、富を見せびらかしている」と主張。その行動を改めるために全力を尽くすと誓った。
またルト氏は増税法案に抗議するデモ隊と警察が衝突し、多数の死傷者が出ていることについて、「悪質な警察官は罪に問われる」と述べた。
ルト氏は先週、抗議デモが暴動に発展したことを受け、国会で可決された増税法案に署名しないと表明した。
しかし、デモ隊はルト氏が署名期限までに考えを変え、署名するかもしれないと主張している。
デモは3週間ほど前から首都ナイロビなどの都市部でほぼ毎日行われ、一部の暴徒が店舗を略奪したり、建物に火を放ったりした。
地元メディアによると、これまでにデモに参加した市民少なくとも39人の死亡が確認されたという。
一部の人権団体は暴徒が混乱に乗じて企業や小売店を略奪したり、市民の怒りを煽っていると非難している。
暴徒は国会議事堂に押し入って火を放つなど、ルト氏が法案に署名しないと発表した後も、暴力的なデモを続けている。
ルト氏は若者に人気のSNSインフルエンサーがデモ中に警察官に拉致され、暴行を受けたと明らかにした。
警察はこの事案に関するコメントを出しておらず、真偽は不明だ。
しかし、ルト氏は悪質な警察官がインフルエンサーを拉致したと述べ、「罪を犯した者は誰であろうと裁判にかけられる」と強調した。
またルト氏は記者から「行政が警察の法執行を妨害するのか?」と問われると、「政府にそのような権限はないが、罪を犯した者は誰であれ、必ず逮捕・起訴される」と述べた。
増税法案に抗議する暴徒が国会を襲撃した際、議員たちは地下トンネルを通って避難した。警察はこの際、催涙ガスと実弾を使って暴徒を排除。数人を射殺した。
その後、ルト氏は法案に署名しないと表明。それを廃案にするよう国会に求めたが、抗議デモは収まるどころか激しさを増しているように見える。
ルト氏はデモ隊との対話を提案し、大統領府の出張・接待予算を削減すると約束。
しかし、デモ隊は失業率が高止まりし、物価が上昇する中でもルト氏や他の高官が贅沢な暮らしぶりをしていると非難。辞任するまで抗議し続けると誓った。
ケニアは長年、汚職に悩まされてきた。最新の事件では、農林水産省が数百万ケニアシリング相当の偽の肥料袋を数千個販売・配布したことが問題となっている。
SNSにはルト氏が抗議デモの犠牲者に言及せず、共感を示さなかったとして批判的なコメントが多数投稿された。