ケニア25年第2四半期GDP成長率+5.0%、堅調に推移
5年第2四半期(4~6月)の経済成長率(季節調整済み)は前年同期比5.0%増。市場の予想とほぼ一致した。第1四半期(1~3月)は4.9%増であった。
.jpg)
アフリカ東部・ケニアの統計局が9月30日、最新の経済統計を公表した。
それによると、25年第2四半期(4~6月)の経済成長率(季節調整済み)は前年同期比5.0%増。市場の予想とほぼ一致した。第1四半期(1~3月)は4.9%増であった。
国家統計局は報告書の中で、「この成長は主に農業、運輸、金融セクターが牽引した」と説明した。
ルト(William Ruto)大統領は8月、今年の成長率を5.6%増と予想。前年(4.7%)を上回るという見通しを示していた。
ケニアの経済はコロナ禍で深刻な打撃を受けたが、回復の兆しを見せている。2020年、新型コロナウイルスの感染拡大とそれに伴うロックダウン措置により、観光業、輸出、国内消費が大幅に落ち込み、経済成長率は0.3%にまで鈍化した。観光業はケニア経済にとって重要な外貨獲得源であるが、国際的な渡航制限と観光客の減少により大打撃を受け、多くの雇用が失われた。また、農業や建設業、製造業などもサプライチェーンの混乱や需要減退の影響を受けた。
2021年以降、経済は回復基調に転じ、政府の景気刺激策やワクチン接種の進展により成長率は回復した。特にICT(情報通信技術)、金融サービス、農業輸出(茶、コーヒー、花卉)などの分野が経済再建の中核を担っている。また、インフラ開発や公共投資も成長を支えた。一方で、回復の恩恵は均等ではなく、都市部と農村部の格差や若年層の高い失業率など、構造的な課題も依然として残る。
さらに、2022年以降はウクライナ戦争の影響による燃料・食料価格の上昇がインフレを加速させ、市民生活に大きな打撃を与えた。エネルギーや食料を輸入に頼るケニアでは、為替レートの変動や債務返済負担の増大も経済の不安要因となっている。政府は税制改革や財政再建を進める一方で、国際通貨基金(IMF)や世界銀行との連携を強化し、外部支援を取り込もうとしている。
現在のケニア経済は、依然として課題を抱えながらも、デジタル経済の発展や地域貿易の拡大(アフリカ大陸自由貿易圏の活用)など、成長の可能性も秘めている。今後の持続的発展には、財政の健全化、雇用創出、インフレ対策、そして社会インフラへの投資が不可欠である。