ギニア大統領選挙、軍政指導者が圧勝、野党への弾圧続く中
これはクーデター以来初の大統領選であり、ドゥンブヤ氏にとっては軍政から文民統治への移行を形式的に完了させる結果となった。
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アフリカ西部・ギニアで25年12月28日に実施された大統領選挙について、選挙管理委員会は12月31日、2021年のクーデターを主導した陸軍特殊部隊の司令官ドゥンブヤ(Mamady Doumbouya)大佐(暫定大統領)が得票率86.72%で勝利したと宣言した。これはクーデター以来初の大統領選であり、ドゥンブヤ氏にとっては軍政から文民統治への移行を形式的に完了させる結果となった。
ドゥンブヤ氏は2021年、当時のコンデ(Alpha Conde)大統領を追放、政権を握った。その後、25年の憲法改正で軍幹部の選挙立候補が認められ、大統領の任期も従来の5年から7年に延長された。この憲法改正は9月に国民投票で承認され、ドゥンブヤ氏自身が出馬できる道を開いた。
選管によると、投票率は80.9%、首都コナクリなどでは有権者の出足が鈍かったという。主要野党候補や有力な政治指導者の多くが出馬を阻まれたか、国外へ追われているため、野党勢力は著しく弱体化していた。結果、野党候補の得票率は6%にとどまった。
ドゥンブヤ氏の支持者は長年遅延していた世界最大規模の鉄鉱石埋蔵地シマンドゥ鉱山プロジェクトの推進を進めてきたことや、国家資源の管理強化を進めてきた点を評価している。ギニアは世界最大のボーキサイト輸出国であり、未開発の鉄鉱石鉱床を抱える資源国であるものの、国民の多くは貧困や食糧不安に苦しんでいる。政府は鉱山開発を通じた雇用創出や投資誘致を目指しているが、これが実際に国民生活の改善につながるかは不透明だとの見方もある。
一方で、選挙過程や政治環境に対する批判も強い。国連や市民団体は抗議デモの制限、報道の自由の抑圧、反対勢力への弾圧など政治的空間の制限に懸念を表明している。また、主要野党や市民団体は選挙が公平に実施されなかったと非難し、「制度的な不正投票」や監視員の排除があったと主張している。選挙結果は今後8日以内に最高裁が承認する予定、異議申し立ての可能性も残されている。
ドゥンブヤ氏の当選はギニアが軍政からの移行を進める形をとったものの、実質的な政治の自由や民主的な競争が十分でなかったとの批判が交錯する中での勝利となった。西アフリカ地域では近年クーデターが多発しており、ギニアの動向は地域全体の政治安定にも影響を及ぼす可能性があると専門家は指摘している。
